各研究分野

その他の研究分野で取り組んだ課題について

 他の研究部・研究室等と協力して、将来の気候変動による浸水被害の増大に備えた都市計画(土地利用計画)のあり方や、東日本大震災による津波被災都市の復興計画の策定プロセスなどについても研究しています。

宅地防災

 国総研の都市計画研究室では、東日本大震災の前後に住宅などの宅地の安全性の向上に関する研究に取り組みました。東日本大震災では沿岸部を中心に、宅地の液状化被害が未曾有の規模で発生しており、被災地では再発防止の対策が求められましたが、建物が建ったままの状態で、地区全体を液状化に強くする対策に係わる支援技術の開発に本省都市局と連携して取り組みました。また、宅地擁壁の耐久性に係わる実態調査も行っています。

気候変動下の都市における戦略的災害リスク低減手法の開発

 気候変動影響による水害の規模や頻度が増大することが懸念される中で、治水施設の整備の着実な推進とともに、まちづくりと一体で減災を推進することが求められています(例えば社会資本整備審議会「水災害分野における気候変動適応策のあり方について~災害リスク情報と危機感を共有し、減災に取り組む社会へ~」答申、2015年8月)。

 そこで、都市計画研究室も参画する国総研気候研究本部では、都市における内水及び外水による浸水リスクを統合した評価手法の開発、及び都市における人口減少や高齢化や、気候変動の進展、対策にかかる期間等の時間軸を踏まえた低リスク社会の構築フレームの開発、住民・事業者のニーズを反映した対策の具体的手順への展開手法の検討を行いました。

津波被災都市の復興計画及び津波防災都市づくり

 平成23年3月に発生した東北太平洋沖地震は、広範な地域に当時の想定を超えた大規模な津波災害をもたらしました。被災都市の復興も、復興市街地の立地場所の選定(高台・奥地への移転、現地での嵩上げ・堤防防御)や、その規模の前提とする将来人口の見積もり、津波対策・市街地整備・居住確保等の事業間調整等の多くの論点を抱える、近代都市計画史上も類例のない災害復興計画・事業となっています。本研究ではこうした復興計画・事業の各都市における検討過程の実態と課題を調査・整理しました。

 併せて、震災後の津波防災まちづくりに関する動きについて整理しました。