道路分野では多様な道路関連情報が地図を介して交換されており、組織や分野横断的に流通することができると、既存の情報提供サービスの高度化や新たなサービスの実現に寄与します。 しかし、地図を介した情報交換は、送り手の持つ地図の経緯度を用いると、受け手の地図上で異なる位置を示す可能性があります。
また、既存の道路地図が持つネットワークIDを基にした情報交換は経年変化の影響を受けることから、これら課題の解決策となる位置参照方式の確立が求められています。
本研究は、道路の区間と参照点とを用いて相対的に道路上の位置を特定し、異なる地図間でも送信者の意図する位置表現で道路関連情報が交換できる位置参照方式である「道路の区間IDによる位置参照方式」の整備を進めています。
道路の区間IDによる位置参照方式は、道路の区間と参照点とに恒久的なIDを付与し、区間と参照点および参照点からの道程を元に位置を表現します。(図1参照)
この結果、図2のように、道路との相対位置関係を各機関で齟齬無く共有できるようになり、前述した課題を解決することができます。
図1 道路の区間IDによる位置参照方式の概念 図2 道路の区間IDによる位置参照方式による位置情報の共有
道路の区間IDによる位置参照方式を活用することで、図3に示すように、様々な道路関連情報(標識や道路交通センサス調査のような静的な情報、プローブデータや災害情報のようなリアルタイム性の高い動的な情報など)を組織間で確実に伝達・交換することができます。
そのため、道路管理やITSの他にも、不動産、観光、電力、バス運行管理や消防などへの活用も考えられ、さまざまなサービスへの展開が期待できる共通基盤となります
図3 道路の区間IDによる位置参照方式の活用イメージ
(2013年7月更新)