維持管理の高度化・効率化

GIS・ITS(過去の研究テーマ)

ICTを活用した人の移動情報の基盤整備及び交通計画への適用に関する研究
(平成24年度~平成26年度)

 「どのような人が、どのような目的・手段で、どこからどこに移動したか」といった交通行動は、道路交通センサスやパーソントリップ調査などの統計調査により把握しています。これらの統計調査は、道路計画、交通計画、都市計画の基礎資料となる重要な調査ですが、調査費用が高く、5~10年の代表する1日のデータであるため、災害時の状況把握や事業終了後の評価など、ある事象に柔軟かつ機動的に対応するためには、新たな交通行動の調査手法の確立が必要です。
 一方、ICT(情報通信技術)の進展により、GPS付の携帯電話やカーナビ、鉄道・バスの交通系ICカードなどから、デジタル化された鮮度の高い人の移動情報(動線データ)が、大量かつ広範囲にわたって24時間365日収集できる環境が整備されてきています。

 国総研では、ICTにより取得できる複数の人の移動情報を収集・分析できる基盤(プラットフォーム)を整備し、交通計画等の施策への適用可能性を明らかにします。これにより、効率よく安価に時宜にかなった調査が可能になり、交通整備効果計測の多様化・高度化、防災計画や災害時の移動支援などの既存の統計資料を補完した行政サービスの支援に加え、マルチモーダルサービスなどの民間サービスの効率化・高度化にも寄与することを目指します。

【参考】 国土技術政策総合研究所 平成24年度 重点研究に関する予算決定概要
http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/kisya/journal/20111226.pdf

プラットフォームのイメージ

プラットフォームのイメージ

研究内容

  1. 人の移動情報の収集方法の調査・検討
  2. 各種人の移動情報の使用(フォーマット)の共通化
  3. 様々な用途に活用可能な人の移動情報の表現方法の確立
  4. 平常時・災害時を想定したケーススタディ分析
  5. プラットフォーム(プロトタイプ)の開発

動線データの活用シーンの例

  • 時宜に即した交通行動実態の機動的・効率的な把握
    • 複数の動線データの活用により、人や自動車の動きを必要なタイミングで把握できる。
  • 交通整備効果計測の多様化・高度化
    • 複数の動線データの活用により、実態に即した交通整備の効果計測に寄与する。
  • 防災計画や災害時の移動支援
    • 高齢者等の人の特性に応じた災害時の帰宅手段・経路の実態把握により、防災計画の作成支援や災害時の避難誘導支援に寄与する。
  • 外国人旅行者の移動障害箇所の抽出
    • 外国人旅行者の回遊実態を把握することにより、移動上の課題を抽出する。
  • マルチモーダル
    • 組織横断的な交通結節点(駐車場、駅、バス停等)の情報連携により、ナビゲーション等の既存サービスの高度化に寄与する。

災害時での人の移動情報の活用イメージ

災害時での人の移動情報の活用イメージ

今までの取り組み

関連する論文・記事等(平成22年度から平成24年度)

  • 太田恒平,大重俊輔,矢部努,今井龍一,井星雄貴:携帯カーナビのプローブ交通情報を活用した 道路交通分析,土木計画学研究・講演集,Vol.47,CD-ROM,土木学会,2013.6
  • 2011年東日本大震災に対する国土技術政策総合研究所の取り組み,pp.255-257,国土技術政策総合研究所,2013.1 http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/rpn/rpn0052.htm
  • 今井龍一,井星雄貴,中村俊之,牧村和彦,濱田俊一:複数の動線データの組合せ分析によるバス停留所付近の走行改善の検討支援に関する研究,土木学会論文集D3,土木学会,2012.12
  • 今井龍一,井星雄貴,千葉尚,牧村和彦,濱田俊一:バスICカードデータを用いた定時性評価による道路整備の効果検証に関する研究,土木学会論文集D3,土木学会,2012.12
  • 今井龍一,井星雄貴,中村俊之,森尾淳,牧村和彦,濱田俊一:交通系ICカードから取得できる動線データの活用に向けた考察~全国の交通系ICカード取扱事業者への実態調査から得た知見~,土木計画学研究・講演集,Vol.45,CD-ROM,土木学会,2012.6
  • 今井龍一,井星雄貴,濱田俊一,森尾淳,牧村和彦:異なる動線データの補完可能性に関する一考察,土木計画学研究・講演集,Vol.44,CD-ROM,土木学会,2011.11

(2013年7月更新)