国総研版騒音・振動シュミレーターの開発

猛禽類にも対応した建設事業現場における騒音・振動の影響予測システム

【注意】(2020/1/14追記)
このページは、平成16年度の研究にて開発したソフトウェア「国総研版 騒音・振動シミュレーター」について紹介しています。
これまでフリーソフトウェアでご提供してまいりましたが、最新の動作環境への対応が十分でないため、とりやめることといたしました。

はじめに

各種建設事業に伴い発生する騒音・振動は、大きな環境問題となっています。周辺地域住民だけではなく、最近ではクマタカ、オオタカ等の希少猛禽類の営巣活動に対する悪影響などが問題とされるケースが増えています。こうした問題に対処するためには、環境影響評価等の際に、現場で発生する騒音・振動の範囲や規模、影響の程度を客観的な根拠によって予測し、その結果をわかりやすく提示することが必要です。こうした情報により、事業の実施計画案、必要な保全措置などの検討が行いやすくなると期待されます。

騒音・振動の発生源となる建設機械類の計測試験の様子(国総研構内)

国総研版騒音・振動シミュレーターとは?

国総研版騒音・振動シミュレータは、ダムや道路等の建設工事や供用に伴い発生する騒音・振動が、周辺地域に伝搬する状況をパソコン上で予測するためのソフトウェアです。本システムを利用することで、例えば事業計画区域内の猛禽類の巣や住宅付近で、どの程度の騒音・振動が発生しそうかを、事前に、定量的に、かつ視覚的に把握することができます。
本システムはフリーウェアでパソコン(Windows)上で動作します。
単体のソフトとしても動作しますが、GISソフト(ESRIのArcGIS)があれば、その拡張機能として動作し、結果を様々な方法で重ね合わせてわかりやすく表示させることができます。

入手希望の方はこちらまでお問い合わせ下さい

→ (2020/1/14追記)現在、ご提供は行っておりません。

希少猛禽類の一種オオタカ。飼育実験により聴覚特性等を明らかにしています。

予測計算の方法

入力データ

騒音振動の発生源(建設機械単体、工種、工法)は、ライブラリー化されたリストからユーザーが選択して、種類、位置、範囲等をGISデータとして、あるいはテキストデータで入力します。例えば取り付け道路の形状と走行するトラックの種類、台数などです。標高(地盤高)、植生、遮音壁の位置と高さ等のデータも同様に与える必要があります。

騒音予測結果(面的分布)の表示例

予測計算

伝搬の予測計算は、日本音響学会等が定めた予測式を元に、植生や地表面形状の違いによる伝搬特性を、野外計測の結果から補正してあります。予測対象の聴覚特性については、人の場合A特性やC特性による感覚補正を行いますが、猛禽類の場合は国総研が千葉大学(岡ノ谷研究室)と共同で計測した猛禽類の聴覚特性を用いています。また、発生源の騒音・振動や、伝搬予測式の検証等に必要な各種の計測は、国総研(緑化生態研究室)、独立行政法人土木研究所(先端技術チーム)、関東技術事務所が連携して実施したものです。

任意の断面による騒音分布の表示

システムの機能 : 国総研版騒音・振動シミュレーターの機能は以下の通りです。

システムの機能 機能の概要
騒音・振動伝搬予測計算機能 1.予測条件の設定
  • 【予測計算の対象となる空間情報の設定】
  • ・予測計算の対象となる空間の情報(標高、植生、地表面の状況、気象等)の設定を行なう。
  • 【騒音・振動発生源に関わる情報の設定】
  • ・騒音・振動の発生源となる建設機械及び工事用車両等の配置、施工範囲等の設定を行なう。
2.予測計算の実行
  • 【平面、断面、点についての予測計算】
  • ・騒音の平面的な分布、ユーザが指定した位置(点または断面)についての予測計算を行なう。
  • ・振動の平面的な分布,ユーザが指定した位置(点)についての予測計算を行なう。
  • 【周波数重み特性の適用(騒音のみ)】
  • ・騒音の予測計算については、ユーザが指定した周波数重み特性による予測計算結果を算出する。
3.予測結果の表示
  • 【予測結果の視覚化】
  • ・騒音の平面的な分布、ユーザが指定した位置(点または断面)についての予測結果を視覚的に表示する。
  • ・振動の平面的な分布、ユーザが指定した位置(点)についての予測結果を視覚的に表示する。
システム構成の編集機能 4.システム構成の編集
  • 【騒音・振動発生源に係る情報の編集、追加】
  • ・騒音・振動発生源である重機等の情報を、独立したデータベースとして管理し、データの編集及び追加を行う。
  • 【伝搬予測モデルの構成の編集、追加】
  • ・伝搬予測モデルを、独立したモジュールにより構成し、モジュール構成の編集及びモジュールの追加を行う。
  • 【周波数重み特性の編集、追加】
  • ・評価に用いる周波数重み特性(猛禽類の聴覚特性等)を、独立したデータベースとして管理し、データの編集及び追加を行う。

計算結果の例

予測条件
空気:気温9.6℃ 湿度40% 気圧1024.4hPa

発生源・遮音壁

標高

地表面の種類

植生

予測計算結果の例

発生源としてバックホウ1号を配置し、騒音の面的分布を等価騒音レベルとして表示したもの。聴覚特性は、人のA特性を用いた。