道路通信標準the Road Communication Standards

用語集
用語
定義
 ASN.1
 (Abstract Syntax 
  Notation One)
 抽象化構文記法。特定のコンピュータ構造や表現形式に依存せずにデータタイプを表現するためにOSIで定めた表記法。データ構造を記述するための一種のプログラミング言語。論理型,整数型,ビット列型,集合型など,さまざまなデータ形式が定義されており,これらを組み合わせることで,複雑なデータ構造を実現することができる。
 ITS
 (Intelligent Transport 
  Systems)
 最先端の情報通信技術を用いて人と道路と車両とを一体のシステムとして構築することにより、ナビゲーションシステムの高度化、有料道路等の自動料金収受システムの確立、安全運転の支援、交通管理の最適化、道路管理の効率化等を図るものである。
 クラス
 (Class)
共通な特性をもったデータの集合を示す、抽象度の高いデータ。
 互換性
 (Interchangeability
    /Compatibility)
 ある製品、行為又はサービスが、同じ要求事項を充たすように、別のものに置き換えて使用できる能力。なお、compatibilityは「両立性」と訳され、「組み合わせて用いる二つ以上の製品又はシステムが、所定の条件の下で相互に不当な影響を及びすことなしにそれぞれの効用を発揮する性質」を意味する。
 道路通信標準では、ネットワークを介して接続される機器や装置を調達する場合、プロトコル、データの意味、メッセージの形式、機能などの仕様を同じにすることによって、ベンダーが異なっても代替して使用できることを意味する。
 コンポーネント
 (Component)
 ハードウェアやソフトウェアで特定の機能を果たす部分。とくにソフトウェアに対して用いられる。
 道路通信標準では、収集系、交換系、提供系など多くのシステムに共通する基本的な通信処理機能を意味する。
 システム
 アーキテクチャ
 (System
    Architecture)
 システムに要求される目標を最も効率的に達成するため、システムを構成する各サブシステムが分担すべき機能や相互のデータのやり取りを規定する枠組み。大規模システムや新規システムの設計に先立って行われる計画検討のアウトプット。日本では、ITS関係5省庁がVERTISの協力を得て1999年11月に完成した。米国は、1996年夏にシステムアーキテクチャを公表し、ITS標準化五箇年計画や新交通基盤(ITI)の構築計画に活用している。
 相互運用性
 (Interoperability)
 異なるシステム間でアプリケーションも含めてサービスの提供が可能となること。
 道路通信標準では、ネットワークを介して相互接続されたセンタとセンタ間、センタと路側装置間、路側装置と車載器間で、相手装置が持っている情報やサービスなどを相互に利用し合うことによって、効率的にシステムを構築して、運用できることを意味する。
 相互接続性
 (Interconnectivity)
 異なるシステム間が相互に接続され、情報のやり取りが可能となること。
 道路通信標準では、ネットワークを介して接続される装置相互間で通信の手順や方法の約束ごとであるプロトコルを統一することによって、情報を正確に送受信できることを意味する。
 データエレメント
 (DE:Data Element)
情報を構成する単独で意味ある値を持つ最小単位のデータ。
 データセット
 (DS:Data Set)
 メッセ-ジを構成する情報の最小単位でありデータの最小単位であるデータエレメントの集合体。
 データディクショナリ   
 (DD:Data Dictionary)
 情報を構成する各データエレメントの定義と利用方法を一意に規定し、参照できる形で収録した辞書。
 データモデル
 (Data Model)
 DD分類の基本となるモデル。ITSシステム間で共通に利用できるよう明確にするため各システムで扱う情報内容を整理したモデル。
 プロトコル
 (PT:Protocol)
 情報をやりとりするための通信規約。システム間を通信により接続する際には、その通信に固有の情報処理のルール(通信規約)があり、これが異なると通信できない。このルールをプロトコルと呼んでいる。
 プロトコルセット
 (Protocol Set)
 複数のプロトコルの組合せ。プロトコルスイート(protocol suite)とも呼ぶ。
 道路通信標準では、道路管理者の通信システムに適用するプロトコル規約として、OSI基本参照モデルに基づき、各層のプロトコル仕様を組合わせた単位を意味する。上位レイヤ(ネットワーク層からアプリケーション層)と下位レイヤ(物理層、データリンク層)毎に定義される。
 メッセージセット
 (MS:Message Set)
 システム間で交換される一連の情報からなるメッセージの解釈を相互に間違いなく行うために、一連の情報を定められた順序で並べた、情報の最小単位であるデータセットの集合体であり、抽象構文記法であるASN.1によって表現されている。
OSI基本参照モデル(Open Systems Interconnection - Basic Reference Model ) 開放型システム間相互接続基本参照モデル
 OSIの7つのレイヤごとにネットワークの機能を規定したネットワーク階層モデルのこと。それぞれのレイヤが相互に情報を受け渡しながら、データを転送していくしくみ。このモデルに従ってネットワーク用のハードウェアやソフトウェアが開発される。
ITSプラットフォーム(ITS Platform)  ITSプラットフォーム(情報基盤)は、ITSを構成する個々のアプリケーションシステムが共通に利用して、情報の共通利用とシステムを効率的・統合的に整備することを目的とするもので、データ基盤、ソフト基盤およびハード基盤によって構成される。
オブジェクト指向(Object Oriented)  データ処理やシステム操作を、手続きの流れではなく、「モノ(オブジェクト)」同士の関係として捉える考え方。
上位クラス(Upper Class)  オブジェクト指向の考え方において、複数のオブジェクトに共通する機能や性質を定義したものがクラスであり、このクラスに対して上位に位置するものを上位クラスと呼ぶ。座標や地点コードで表現される「地点情報」クラスは、線や面で表現される他のクラスと共通して位置を表現することから、上位クラス「位置情報」クラスの下位に位置付けられる。
IP インターネット プロトコル
 インターネットを構成する通信機器が共通に使用する通信プロトコルで、OSI第3層(ネットワーク層)に当り、信頼性を保証しないコネクションレス型プロトコルである。
機能モデル(Function Model)  対象とするサービスを実現するために必要な機能を、ITSのシステムアーキテクチャで定義されているサービスの最小単位(サブサービス)毎に抽出し、対応するサブサービスの個別物理モデルをマージしたもの。
システムモデル(System Model)  対象とするサービスの機能モデルを元に、個々の機能を機器に振り当て、その配置を明らかとしたモデル。
CORBA(Common Object Request Broker Architecture)  プラットフォームやプログラム言語の壁を超えてオブジェクト(プログラム部品)同士の通信を可能にする技術仕様のひとつ。OMG(Object Management Group)が規定している。
物理層 (Physical Layer)  OSI参照モデル7階層の中の第1層(レイヤ1)。電気信号の電圧やインピーダンスなどの電気的・機械的な仕様を規定し、通信機器同士や通信機器と端末間などの物理媒体上でデータ転送を行う。 
データリンク層 (Data Link Layer)  OSI参照モデル7階層の中の第2層(レイヤ2)。データリンク層は、隣接する通信ノード間でのデータ転送を行う。データをフレーム化して送受信を行い、そのフロー制御と伝送エラー制御を行う。
ネットワーク層 (Network Layer)  OSI参照モデル7階層の中の第3層(レイヤ3)。ネットワーク層は、通信端末間でのデータ通信経路を提供する。ネットワークアドレス制御、中継サービス品質制御、データ転送制御を行う。
トランスポート層 (Transport Layer)  OSI参照モデル7階層の中の第4層(レイヤ4)。トランスポート層は、多重化による効率的なデータ転送機能や通信の信頼性を高めるエラー検出/回復機能などのプロトコルを持ち、端末間のデータ転送を確実に行う。
セッション層 (Session Layer)  OSI参照モデル7階層の中の第5層(レイヤ5)。セッション層は、データ送信のための同期処理および通信方式の規定をし、データ通信の通信路(セッション)の確立・維持・解放を行う。
プレゼンテーション層 (Presentation Layer)  OSI参照モデル7階層の中の第6層(レイヤ6)。アプリケーションプログラムからの通信開始要求を検知しデータ転送を開始・終結させる。データ転送時には、抽象構文でデータ化されたアプリケーション層のデータをプレゼンテーション層がビット符号化、暗号化してデータ転送する。
アプリケーション層 (Application Layer)  OSI参照モデル7階層の中の第7層(レイヤ7)。ネットワーク機能を持つアプリケーションレベルのプロトコル層で、ユーザーに対してOSIのアプリケーションサービスを提供する。
AHS(Advanced Cruise Assit Highway System)  走行支援道路システム。事故の防止等の安全運転を支援するため、道路上の情報をセンサー等によって収集し、ドライバーに危険警告を行う「AHS-i」や、状況によりハンドルやブレーキ制御等の運転補助を行う「AHS-c」等を実現するシステム。
EDI(Electronic Data Interchange)  電子データ交換。取引関係にある複数の企業間で取引情報を電子交換すること。それぞれの企業のコンピュータを通信回線で結び、提携業務のデータをやり取りする。見積り、受発注・検査・納入・クレーム処理・支払いなど、取引に関する一連の業務を電子化し、検品や伝票をなくすことで、物流・決済コスト、人件費などを削減できる。
ISO(Internatinal Organizatin for Standardization)  工業関連分野の規格統一や標準化を行う国際機関。分野ごとに専門員会(TC)、分科会(SC)、作業部会(WG)が設置されている。規格案は数段階の審議を経て最終的にIS(International Standard)となる。
ISO/TC204(Internatinal Organizatin for Standardization/
Technical Commitee 204)
 国際標準化機構(ISO)において、ITSに関する標準化を進めている専門委員会がTC204である。
車載器 (On board eqipment) 車に搭載された、路側装置との通信機能を有する機器。