道路通信標準the Road Communication Standards

道路通信標準とは

背景

 ITSの最新技術を用いた高度な道路インフラの効率的な開発・整備を行なうためには、地域間、道路管理者間、さらには道路管理者以外との連携や協調が重要となりますが、現状の道路通信システムは以下のような問題を抱えています。

道路通信システムの問題点

●多様な通信プロトコルが混在するため、通信仕様の整合を図るために多大な時間と整備コストを要する。
 
● 情報解釈の定義が異なるため、システム間で相互運用を行うための情報解釈の整合化に多大な時間とコストを要するだけでなく、実現が困難な場合がある。
   
● 同じ機能を持つ機器の通信仕様が異なるため、機器の代替性が確保されておらず、運用に支障をきたす場合がある。また、機器調達における公平性が阻害され、調達コスト増加の要因となる。

目的

 背景で述べた問題に対して、道路通信標準は以下の目的を達成するため、データ定義やメッセージ交換手続き、および道路通信に適用する通信プロトコルなどの標準を規定しています。
 
●システム間やコンポーネント間での相互接続性、相互運用性および機器の互換性を確保することにより、情報資源の共通利用の促進、システムの拡張性の確保、システム開発の効率化を実現します。
 
●国際標準との整合性を積極的に確保することにより、国際協調を促進します。

期待される効果

 道路通信標準を適用した場合には以下の効果が期待できます。
 
●情報の形式や通信方式が統一されることにより、離れた地域間や管理者間、あるいは管理者内の異なるシステム間での情報交換や情報資源の利用が可能となります。

●将来的に道路管理者以外のシステムとの互換性や情報の共有化に際しても、道路通信標準を基盤とすることで情報交換・情報資源の共有化が可能となり、拡張性・互換性を確保することができます。

●これまでは道路管理者が調達したシステムについては、そのシステムを納品したメーカーしか詳細が分からないため、システムの拡張や更新にあたっては自然と同じメーカーに発注されていました。ここで、道路通信標準という基盤に基づくことで、多数のメーカーの参入を促すことになり、市場原理に基づき調達コストの低減が図られるなど道路管理者の機器調達において合理化を図ることが可能となります。

●WTOにおいて、国際調達に際しては国内標準より国際標準に準じることが規定されており、道路通信標準が国際標準との整合を図ることにより、海外企業の参入についても公平性を確保することができます。

各項目ごとの導入メリット

 特に、従来は情報交換の連携先が増えるごとに対処が必要でした。

導入前の連携体制

 ここで、道路通信標準を情報交換の共通仕様とすることにより、連携先が増えた場合でも対処が容易であり、コストを抑えながら将来の拡張性も確保することができます。

変換装置を咬ませての連携体制

 さらに、道路通信標準の仕様に従ったシステムであれば、変換装置無しで情報交換が可能となります。

道路通信標準に則っているシステム同士の連携体制