ITSとは

ITS(Intelligent Transport Systems)は、最先端の情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報でネットワークすることにより、交通事故、渋滞等といった道路交通問題の解決を目的に構築する新しい交通システムです。

我が国では、1996 年に関係5 省庁(当時)によりITS 推進に関する全体構想が策定され、ITS の9 つの開発分野が提示されました。これ以降をITS 推進のファーストステージとして、開発9 分野、21 の利用サービスを設定し、開発・実用化・普及のロードマップが策定され、産官学民協力のもと国家プロジェクトとして推進されるようになりました。

VICS やETC の提供開始後、2011 年には双方向の通信が可能な通信スポットを全国(高速道路等)に展開し、通信スポットを活用した各種の情報提供(ダイナミックルートガイダンス、安全運転支援等)が行われました。2014年からはETC2.0 サービスとして進化し、静止画や気象情報等の提供や経路別料金等の施策への対応も行っています。

今後は「地球環境や安全、渋滞などの交通課題を解決し、人々の豊かな生活と産業・文化の発展に貢献する」、すなわち「持続可能なモビリティ社会の実現」に向けた取組みが重要です。実際、政府の提言にもITS が含まれており、将来の交通社会やモビリティ向上に向けITS に期待がかけられています。
今後のITS の展開に向けては、交通問題の解決だけでなく、産業競争力、エネルギー、少子高齢化、地域活性化など社会が抱える様々な課題解決と一体となった取り組みが求められております。また、限られたリソースで最大の効果を上げるためには、統合的なアプローチが不可欠です。すなわち、次世代技術を活用した車両(電気自動車、PHV、燃料電池車、高度運転支援等)の普及、ICT を活用した次世代ITS(交通情報収集・配信、高度交通管制、インフラ協調等)の導入、効率的な交通・物流インフラ(マルチモーダル交通、公共交通、都市構造等)の整備、市民および企業の自主活動(交通需要マネジメント、交通手段の最適選択、モーダルシフト、共同配送等)の推進、そして、これらの多面的な取り組みを促進するための政策が求められております。