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海岸の研究 English Page
海岸研究室

海岸研究室 研究テーマ
[2]津波・高潮

7.津波防災地域づくりにおける自然・地域インフラの活用

1)背景

 平成23年12月に津波防災地域づくりに関する法律が施行され、最大クラスの津波が来襲した場合の浸水想定を踏まえた「津波防災地域づくりを総合的に推進するための計画」の作成が各市町村において進められています。この計画では、被害の最小化を主眼とする「減災」の考え方に基づき、ハード・ソフト施策を組み合わせ、とりうる手段を尽くした総合的な津波防災地域づくりの姿を地域の実情に応じて描くこととされています。
 津波から人命を守るための基本の一つは避難であり、津波避難タワー等の施設整備が進められている地域もありますが、十分に整備されるまでには多大な時間と予算がかかります。一方、既に存在する海岸林や砂丘等が津波の遡上を阻止あるいは減勢することで陸地の被害を軽減する効果があることは従来から指摘されており、国内外で多数の調査や研究がなされています。このような地物(地形、構造物等)を津波防災に役立つ「自然・地域インフラ」として捉え、その効果や限界の評価方法、活用法について平成26年度から研究してきました。
 

2)自然・地域インフラ活用の考え方

 砂丘等の地物は、津波に対して減災効果を有する自然・地域インフラの一つと考えられる。このうち、自然に形成された地物を自然インフラ、人工的な地物を地域インフラと呼ぶこととしました(図-1)。
 沿岸部にある砂丘・浜堤が津波防災に役立つ自然インフラの代表例として考えられ、東北地方太平洋沖地震では砂丘が陸上への津波の遡上を抑制した事例がみられました(写真-1)。 また、東北地方太平洋沖地震で減災効果を発揮した地域インフラとしては、漂流物を捕捉した保安林、津波による浸水の拡大を抑制した道路盛土(写真-2)、津波からの避難場所となった公園や高速道路の盛土などがあります。
 自然・地域インフラの活用に当たっては以下の点に留意する必要があります。
(1) 減災効果の限界
 自然・地域インフラの減災効果には限界があり、特に巨大な津波に対しては効果が限定的となる場合もあることに留意する必要があります。
(2) 関連法規に則った保全・改良
 自然・地域インフラの保全・改良には、それらの法制度上の位置づけを整理する必要があります。自然・地域インフラに該当する海岸砂丘などの自然地形、防潮林、旧堤防、盛土には、海岸法や森林法などによる規制等がかかったものもありますが、津波防災地域づくりに関する法律に定める津波防護施設に指定できるものもあります。法的な位置づけを明確にすることで、自然・地域インフラの保全・改良の着実な実施が容易になる可能性があります。


図-1


写真-1


写真-2



3)自然・地域インフラの保全・改良の検討方法

 自然・地域インフラのうち、津波の減勢効果を有する砂丘および盛土構造物の保全・改良については、津波浸水シミュレーションを用いた検討が有効です。その検討方法は図-2のように整理されます。
 津波の減勢による減災効果の評価方法などについては、国総研資料第986号をご覧下さい。

図-2




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