木造住宅を建てる前に確認しておきたい
7つのポイント
6.サッシの種類と特徴

サッシにはたくさんの種類があるみたいだけど、選ぶときのポイントは?
サッシに求められる性能として、「断熱性」、「防露性」、「水密性」、「耐風圧性」、「気密性」、「遮音性」、「防火性」、「日射熱取得性」、「防犯性」などがあります
ここでは、快適な室内環境にするための「断熱性」と、窓まわりの結露を防ぐための「防露性」、台風などの強風雨による窓まわりへの漏水を防ぎ耐久性を確保するための「水密性」について説明しますね

1)断熱性
一般的に外気と住居内の熱が最も伝わりやすいのが開口部(窓、ドアなど)となります。最近は高性能な断熱サッシが流通していますが、外壁と比べますと著しく断熱性が低い性能となっています。
従って、窓の役割と窓の大きさや配置について、総合的な配慮が必要になります。
開口部に使用されるサッシの断熱性を示す指標として、窓全体の熱貫流率Uw値(w/㎡・K)、ガラス部分のUg値、サッシ部分のUf値があります。窓全体の断熱性はUw値を参考にすると良く、何れも小さな値ほど断熱性が高くなります。結露防止(特に壁体内結露)については、Uf値が重要となります。サッシの種類として、昔はほとんど「アルミサッシ」でしたが、最近は「アルミ・樹脂複合サッシ」が普及しつつあり、先進国や北海道では「樹脂サッシ」、北欧では「木製サッシ」が普及しており、素材としてこの順番に断熱性が高くなります。窓まわりや壁内の結露を防ぐためには、樹脂サッシや木製サッシが推奨されます。木製サッシはメンテナンスが重要となります。
現在、ガラス部分は、単層ガラスがほとんど無く、一般的に二層または三層が普及しつつあります。また、ガラスとガラスの空間にはアルゴンガス、クリプトンガス、真空などがあり、順次、断熱性が高くなります。ガラスの表面にLow-E膜といわれる特殊な金属膜をコーティングした「Low-E複層ガラス」は、冬の断熱性を重視した「断熱タイプ(日射取得型)」と夏の遮熱性を重視した「遮熱タイプ(日射遮蔽型)」の2種類があり、建設地域(寒冷地、温暖地)や窓を取り付ける方位(東西南北)に対して配慮が必要になります。



2)防露性(結露のしにくさ)
結露は住宅瑕疵担保責任保険の対象になっていませんので、住宅の引き渡し直後に結露が発生してもこの保険の保証対象にはなりません。アルミの熱伝導率は、樹脂の1,000倍以上であり、熱を著しく伝えやすい特徴があり、室内外および壁内の温湿度条件によっては結露が発生することがあります。ガラス面の結露や、サッシの屋外に流れ落ちやすい部分の結露の場合、定期的に結露水を布等で拭くことで問題は少なくなりますが、窓台などの木材のまわりに結露して木材が結露水を吸い込みカビが発生したり、腐朽したりすることがあります。最悪の場合、壁の中でサッシが結露し、その結露水が下地材や躯体材に長期間付着し、木材の含水率が高くなることにより、見えないところで腐朽する可能性も考えられます。
一方、アルミサッシは樹脂サッシと比較すると、耐候性や強度性能が高く、価格も安価であるなどのメリットがあり、これまで数多く採用されています。

壁の中で結露が発生して土台や柱などが腐ったら、壁を剥がして補修することになるかも!
結露以外で注意することはあるの?
木造住宅では、一般的に断熱性からサッシの種類が選択されますが
各種の防水実験から、雨水浸入を防ぐ防水の仕様が重要であることも確認されています

本サイトは、国総研の研究成果をもとに記載するものです。
国総研では「仕様による影響」を実験により検討していますが、「施工の影響」に関する実験はしていないため、「防水の仕様」と表現しています。
3)水密性(雨水の浸入のしやすさ)
国土交通省住宅局の資料によると、住宅瑕疵担保責任保険による保険金支払件数(平成30年までの累積)のうち、雨水関係が93%、構造関係が7%となっています(※結露は本制度の対象となっていない)。また、瑕疵担保責任保険法人の資料によると、雨水関連の瑕疵事故の中で開口部(窓、ドア等)の瑕疵事故の割合は約25%に至っています。品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)により、住宅事業者(建設会社、宅建業者など)は瑕疵に対する10年間の住宅瑕疵担保責任を負っていますので、引き渡し後10年以内に瑕疵があった場合、補修を行った事業者に保険金が支払われますので、雨漏れに対する改修工事をすれば良いのですが、引き渡し後10年以上の場合、本制度を基本的に適用することが出来ません。
開口部まわりの防水性試験を実施した結果、外装にサイディングを施した通常の納まりでは、新築住宅と同様にシーリングが施され劣化もないので、漏水するリスクは著しく低い状況でしたが、外壁が無い状態での防水試験では、各種の防水納まりによる相対的な差異が確認され、防水納まりの重要性が確認されています。アルミサッシには、垂直の縦フィンと水平の横フィンがあり、相互の間には防水シーラーが施されています。この防水シーラーは、上部の途中で切れていたり、出っ張っていたりすることがあり、その上部に防水テープを貼っても、ピンホール(雨水の浸入口)が生じて漏水の原因になりやすい部分となりますので、適切な防水納まりとなるよう工夫が必要となります。一方、樹脂サッシは、縦フィンと横フィンが溶着されているため、この防水シーラーそのものがありませんが、アルミサッシよりもサッシフィンが厚くなり下地との段差が大きくなります。従って何れのサッシにおいても、水みちが生じないよう幅広の防水テープを使用し、適切に施工することが望まれます。



サッシの種類に対応した、サッシまわりの防水対策が重要なのね!
サッシ選びは慎重に検討するわ!