各研究分野

過去の研究

集約型都市づくりに関する研究

都市の計画的な縮退・再編のための維持管理技術の開発

研究期間 平成26~28年度

 人口の減少と急速な高齢化の進行、産業構造の変化、厳しい財政状況下での行政サービスコストの増大等、都市をめぐる社会経済環境の大きな変化により、今後都市の拡散と高齢化がさらに進行すると、郊外市街地において日常生活に必要な医療、福祉等の居住機能等が低下するとともに、空家、空地の増大等による土地利用の混乱や都市問題が深刻化するおそれがあり、都市の再構築を図りつつ、集約型都市構造への転換が急務となっています。

 本研究では、都市の再構築を図りつつ、集約型都市構造への転換を目的として、将来にわたり持続させることが困難な郊外市街地について、地方公共団体が市街地の縮退・再編に向けた具体的な判断、行動に取り組めるよう、縮退・再編エリアの客観的な評価・選定方法、計画的な縮退・再編の段階に応じた市街地の維持管理手法に関する技術開発を行っています。

「都市の計画的な縮退・再編のための維持管理技術の開発」の研究構成
これまでの主な研究成果

密集住宅市街地の整備促進方策に関する研究

都市の計画的な縮退・再編のための維持管理技術の開発

 我が国には、地震時に大規模な市街地火災が発生するおそれのある危険な密集市街地が依然大量に存在しており、防災性向上のための整備・改善の加速化が求められています。国の密集市街地整備政策が位置づけられている「住生活基本計画(全国計画)」の見直し(平成23年3月15日閣議決定)では、地震時等に著しく危険な密集市街地(全国約6,000ha、平成22年)を10年間で概ね解消(基礎的安全性の確保)する新たな整備目標が示されました。

 また、密集市街地は日常的な住環境(日照・採光、通風・換気等)の水準も低く、それらの改善が求められているとともに、高齢地権者の増加に対応した支援方策も求められています。

 本研究では、下記の観点を重視しつつ、密集市街地の実態・変容動向や地権者意向等の調査・分析を通じて、整備促進方策に関する検討を行っています。

  • 整備の「必要性」だけでなく「可能性」を高める方策の検討
  • 「ハード面」の整備方策だけでなく「ソフト面」の支援方策の検討
  • 「事業」や「改造」だけでなく「規制誘導」や「修復」による整備方策の検討
  • 「防災性」だけでなく「住環境」の改善方策の検討
住宅市街地総合整備事業(密集住宅市街地整備型)
実施地区における防災路線の整備
(東京都豊島区東池袋4・5丁目地区)
街並み誘導型地区計画に基づく認定により
道路斜線制限の適用除外となり建て替わった住宅
(東京都品川区戸越1丁目地区)
密集市街地における協調的建て替えルールの策定支援技術の開発

研究期間 平成22~25年度

 密集市街地の整備促進のため、街並み誘導型地区計画、建ぺい率特例許可、連担建築物設計制度等の各種のまちづくり誘導手法を活用して建築物の建て替え誘導、促進の取り組みが進められており、これらの手法を用いた「協調的建て替えルール」に従って、個別に建て替えを誘導・促進することが極めて有効です。

 これらの協調的建て替えルールを検討する際の参考情報となると想定される建て替え後の街区性能水準について、市街地の即地的な要素をある程度単純化したモデルのもとで、簡易に予測・評価し、比較することを支援する手法の提案を目的に研究を行っています。

「協調的建て替えルール策定支援のための街区性能水準の予測・評価の手引き(素案)」
に基づく街区性能水準評価の流れ
少子高齢・人口減少下における密集市街地の地域活力の向上とエリアマネジメントに関する研究

研究期間 平成23~24年度

 密集市街地の地域活力(若い世代の流入、防災性・住環境の維持向上を含む)を高めるため、子育て世代ならびに高齢世代による地区の生活空間・施設に対するニーズを把握し、増加しつつある相続不動産や空き家・空き地を活用しつつそれら生活空間・施設の効果的な整備・管理を推進するエリアマネジメントのあり方について検討を行っています。

「少子高齢・人口減少下における密集市街地の地域活力の向上とエリアマネジメントに関する研究」の研究構成
これまでの主な研究成果

良好な市街地環境形成のための建物コントロールに関する研究

都市の計画的な縮退・再編のための維持管理技術の開発

 わが国の経済社会状況の大きな変化に伴い、国民の市街地環境に対するニーズも多様化・高度化しており、従来の建築基準法集団規定(形態規制、用途規制)の仕様的枠組みでは合理的対応が困難な場面も生じています。

 本研究では、集団規定に基づいて形成される市街地環境性能について、シミュレーション、実験、実測調査等を通じて規制効果に関する定量的分析を行い、都市型社会に対応した良好で快適な市街地環境の形成誘導に向けた建物コントロール手法のあり方について検討を行っています。

隣棟間隔と1階開口部(地上1.5m壁面)照度の関係
(建物断面対称、全天空照度15,000 lx、壁面・道路面反射率0.25の場合)
特定の建物用途が周辺環境に及ぼす騒音の終日計測結果の例
これまでの主な研究成果

筑波研究学園都市の形成に関する研究

都市の計画的な縮退・再編のための維持管理技術の開発

 筑波研究学園都市の建設が1963年の閣議了解によって決定された後、約50年が経過する中で、国家プロジェクトとしてどのように新都市が形成され、時代によってどのような課題をどのように克服しつつ現在に至っているのかを調査し、一つのストーリーとして提示しました。新都市の形成過程を3つの時期に区分し、「閣議了解から概成まで」、「官・民による都市機能の充実・発展期」、「つくばエクスプレス開通後」と呼んでいます。また、対比事例として「関西文化学術研究都市」も紹介しています。

つくばの都心地区北部(2011年9月撮影)
これまでの主な研究成果