屋根瓦を落とさない・飛ばさないための7つのQ&A

Q5.地震や台風の際、瓦が落ちたり、飛んだりしないようにするには、どうすれば良いの?

 新築および改修工事の契約前に「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」により設計・施工することが可能であるかを、元請けの担当者に確認されることが推奨されます。旧工法およびガイドラインの仕様の主な特徴を以下に示します。

1)棟部の緊結

 地震の際、最も被害が多いのが和瓦を使用した棟部となります。旧来の構法(図1上部)は、土や針金状の結束線を使用していますが、下地へ緊結しておらず脱落しやすい仕様といえます。

 一方、ガイドラインの構法(図1下部)は、ボルトや金具など使用して、下地に強固に緊結しているため、地震時や台風時に脱落・飛散しにくい仕様です。

[図1] 棟が脱落しやすい旧構法と、脱落しにくいガイドラインの構法の例

[図1] 棟が脱落しやすい旧構法と、脱落しにくいガイドラインの構法の例

2)半端(はんぱ)(がわら)の留め付け

 屋根の流れ長さ(勾配のある方向の長さ)と瓦の長さの関係により、平部の最上部(棟付近)の瓦を短くしなければならない場合があります。その瓦を半端瓦(写真5)といい、この瓦を留め付けないと半端瓦や棟部(屋根の頂部)が地震や台風の際に脱落することがあります。

 ガイドラインの構法は、この半端瓦を適切に留め付け、飛散・脱落しにくい仕様となっています。

[写真5] 半端瓦の留め付け

[写真5] 半端瓦の留め付け

3)勝手(かって)(がわら)の留め付け

 屋根の谷部や下記の隅棟(すみむね)の留め付け(図2)の形状に対応させるため、三角形に切断された瓦を勝手瓦(図2)といいます。勝手瓦を留め付けるための釘孔(くぎあな)をあける作業を省略して下地に留め付けなかったり、接着剤で固定していなかったりすると勝手瓦やその上部の瓦が地震や台風の際に脱落することがあります。

 ガイドラインの構法は、この勝手瓦を適切に留め付ける構法となっています。

[図2] 勝手瓦の留め付け<

[図2] 勝手瓦の留め付け

4)平部、軒先、けらばの瓦の留付け

 和瓦(J形瓦)の施工は、瓦屋根標準施工要領書(JKY-2014)、平板瓦の施工は、瓦メーカーの施工要領書などが参考となります。