研究成果概要


国総研資料 第 32 号

【資 料 名】 沖積河川の河口域における土砂動態と地形・底質変化に関する研究

【概   要】 沖積河川の川口域は上流から供給される微細土砂が堆積しやすく,遠浅の地形や干潟が形成される.河道管理においては,洪水疎通能力や航路を維持するためのと自然環境の保全を両立する必要があるため,本研究では微細土砂の供給・堆積・再移動のメカニズムについて現地観測に基づいて検討し,以下の結論を得た.1)干潟の地形変化は出水後に最も顕著であった.粒径別の土砂堆積量と出水後に上流から輸送された浮遊砂量を比較したところ両者はほぼ整合し,出水期の土砂移動の傾向が把握できた.2)沖合干潟では,上げ潮時に潮流や波の影響によって表層底質が巻き上げられ,浮遊土砂が塩水フロントに取り込まれて高濁度水,を形成し,河口を通して河道へと遡上していた.3)平水時に潮によって移動する浮遊土砂量を河口と河道で計算した結果,1年間を通じて河道内部に土砂が堆積しており,その量は中規模程度の洪水流出量に匹敵することが分かった.4)以上より河口域の地形形成においては,洪水時の上流からの土砂供給が主要因となり,更に平常期の潮による土砂移動が副要因であることが明らかとなった.

【担当研究室】 河川研究室

【執 筆 者】 末次忠司,藤田光一,諏訪義雄,横山勝英



表 紙 14KB
中 扉 17KB
目 次 356KB
第一章 序 文 454KB
第二章 水域モニタリング手法の開発 3,092KB
第三章 白川の土砂動態の歴史的変遷と研究方針 3,639KB
第四章 白川上流域から供給される土砂量 805KB
第五章 白川河口域の地形・底質変化 1,903KB
第六章 白川河口域の潮汐に伴う年間の土砂移動状況 6,530KB
第七章 白川河口域の1年間の粒径別土砂収支 533KB
第八章 多摩川の土砂動態 1,751KB
第九章 研究の総括 462KB
奥 付 13KB

全 文 15,121KB