【主旨説明】

 木造住宅の耐久性については、2000年に住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護、 住宅に係る紛争の迅速かつ
適正な解決などを目的とした「住宅の品質確保の促進等に関する法律」 (略称:住宅品確法)が施行され、新築住宅の取得契約における瑕疵担保責任期間の10年の義務化、 住宅性能表示制度(任意)などが制定されています。
 また、2009年には、新築住宅を供給する事業者に対して瑕疵の補修等が確実に行われるよう、 保険や供託などを義務付けた
「住宅瑕疵担保履行法」が施行されました。
 これらの法令により、引渡し後10年以内に瑕疵が発覚した場合は、住まい手が保護される 仕組みが整えられました。
しかし、住宅瑕疵担保責任保険法人の報告によると、新築住宅の瑕疵事故のうち、 9割以上が雨漏りであることが報告されており、
依然として、雨仕舞いや防水対策が 十分ではない場合があることが分かります。
 国土技術政策総合研究所は、2011年度から2015年度までの5年間、24機関の参加を得て、 木造住宅の耐久性と外皮構造の
関わりを主題とする産学官連携の共同研究「木造住宅の耐久性向上に 関わる建物外皮の構造・仕様とその評価に関する研究」
(委員長:東海大学名誉教授 石川 廣三)を実施しました。
 本資料は、その最終成果物であり、木造住宅の耐久性向上のため、最も緊急性と有用性が高い 課題として抽出された、雨水浸入、結露発生、およびこれらに伴う劣化リスクの評価、外皮の設計施工方法、 情報の伝達に関わる12の重点課題について、
それぞれ独立して設置した作業部会が行った 調査研究の成果をとりまとめたものです。
 本資料により、造り手にとっては、各種の劣化リスク、不具合・劣化事例、推奨する設計・施工方法に関する技術資料となり、
住まい手には、住宅選びに欠かせない技術情報源となります。
  本資料が有効に活用されることにより不具合事象が未然に防止され、木造住宅の耐久性が 大幅に向上することが期待されます。

【執筆者】
国土技術政策総合研究所、東海大学、東洋大学、筑波大学、関東学院大学、早稲田大学、 東京大学、横浜国立大学、
東京理科大学、ものつくり大学、
一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会、一般社団法人 日本木造住宅産業協会、
一般社団法人、全国中小建築工事業団体連合会、一般財団法人 中小建設業住宅センター、 一般社団法人 日本左官業組合連合会、一般社団法人、全日本瓦工事業連盟、一般社団法人 日本金属屋根協会、一般社団法人 日本防水材料連合会、
NPO法人 湿式仕上技術センター、NPO法人 住宅外装テクニカルセンター、
全国陶器瓦工業組合連合会、透湿ルーフィング協会、屋根換気メーカー協会

※リンクを歓迎致します。  


第1編 全体概要

表紙、はしがき、参加機関、要旨

共同研究の概要を知りたい
 表題、はしがき、参加機関、要旨、本資料の構成、研究目的、活動の概要、第2~4編の構成と概要を示しました。(第1編)



第2編 【住まい手向け】 長持ち住宅ガイドライン

主旨・注意事項(必ずお読みください)

第Ⅱ章 木造住宅の耐久性を向上させる家造りガイドライン

長持ち住宅の基本情報を知りたい!
  外皮とは?、住宅建設の背景、情報伝達の重要性、災害対策、施主による建設前の確認方法など、健全な住宅を長期間にわたり確保するための基本情報を解説しました。
(第Ⅱ章 本文)

「長持ち住宅の選び方」 (webサイト)

住宅を選ぶ前に、各種の性能について理解しておきたい!
  長寿命・省エネ・健康・安全な住宅の選び方をWebにより分かりやすく解説しました。
(第Ⅱ章 関連ツール)

長持ち我が家を築く!造り手との情報交換ツール (表計算ソフト)

候補となる住宅の性能を把握したい!
  住まい手からマイホームの要望を伝え、候補となる住宅の仕様や性能を把握するための表計算ソフトを作成しました。
(第Ⅱ章 関連ツール)

「住まい手のための材料・部材選択シート」

マイホームに採用すべ 材料の特徴を予め知りたい!
  住宅の耐久性を確保する上で重要な材料・部材の重要事項を解説し、推奨材料を選択するためのシートです。(第Ⅱ章 関連ツール)

 
「住宅外皮重要ポイントチェックリスト」

マイホームに採用する構法について、関係者と検討したい!
  天井・外壁・バルコニー・床下の各種の構法、材料・部材の納まりや品質を解説しました。(第Ⅱ章 関連ツール)

 
第Ⅲ章 木造住宅の長期使用に向けた屋根、外壁、床下の
メンテナンスガイドライン

各種の仕様に対応したメンテナンス方法について、事前に知りたい!
  屋根・外壁・床下の仕様を示し、対応するメンテナンス方法、LCC(ライフサイクルコスト、建設から解体までの生涯費用)の考え方、点検・モニタリング、住まい方を解説。建設前にも役立ちます。(第Ⅲ章 本文)

 
各種屋根葺き材による経年変化事例調査

各種の屋根の劣化状況を知り、仕様を選ぶ際に役立てたい!
  各種の屋根葺き材を対象にして、各部位の経年劣化事例調査結果を報告。
各事例別に仕様、劣化状況、作用因子、補修内容、耐久性向上のための提案が示されています。(第Ⅲ章 関連ツール)



第3編 【造り手向け】 リスク分析・評価ガイドライン

水分による劣化の危険性と対応方法を把握したい!
  木造住宅の早期劣化と外皮構造の関連の実態、および背景としての設計・施工体制に関わる情報収集に基づいて、主として水分に起因する木造住宅の劣化リスクを高める要因の分類と抽出を行い、要因毎に想定される現象と必要な対応について解説しました。
  関連報告(シミュレーション計算)


雨水浸入による危険性や評価方法について把握したい!
  住宅木部の雨水に由来する劣化のリスク予測に不可欠な、外皮各部からの雨水浸入量および浸水頻度の定量的把握を可能にするため、浸水外力としての外皮面が受ける雨水の量および外装材表裏に生ずる圧力差を明らかにしました。また、風雨を受ける外皮面上の目地、取り合い間隙、ひび割れ等の連続した間隙から外皮内に浸入する水量を推定する一般的な方法を提案するとともに、いくつかの具体的外皮構造を対象として浸水量を評価した事例を提示しました。
  関連報告( 検証試験 データベース

木材周辺の水分の状況と腐朽の危険性と評価について、知見を得たい!
 
木部の劣化事象のうち主として腐朽について取り上げ、腐朽と他の生物劣化との相違について概説し、木材そのものが持つ耐久性(耐朽性・耐蟻性)の特徴とその評価方法、木造住宅の耐久性確保における木材保存について位置づけ、さらに、木材保存剤が外皮構成部材へ与える影響などの懸案事項を示しました。
  後半では、木材中の水分が腐朽を律速し且つ制御可能な因子であることから、木材の吸水異方性に関して考察するとともに、外皮木部の水分履歴に応じて木部の腐朽危険度を予測する方法とその適用例を示し、外皮内における水分制御の重要性とリスク評価に関する知見について述べました。

業種が異なる取り合い部など、施工による不具合を防ぎたい!
 
木造住宅外皮において、同一部位の施工に関与する異業種の工程連繋不足に起因する不完全施工が劣化リスクを高めているとの認識に基づいて、部位および取り合い部の工程と関連職種の分析を行うとともに、劣化発生につながる異業種施工取り合い部の具体例を抽出して問題点を指摘しました。
  更に既存住宅の雨漏り事故の原因分析、および外皮各部材の施工職種に関する全国実態調査結果に基づいて、工事進行の効率化を動機とする本来の専門職種外の職種の関与による初歩的な内容の不適切施工が多くの雨漏り事故の原因となっている可能性を指摘しました。
  関連報告(アンケート調査結果)


ラスモルタル外壁の耐久性や強度を評価する方法を把握したい!
 
木造住宅のラスモルタル外壁を対象として、水分に起因するラス,ステープル,釘などの接合部の耐久性に関する実験を行い、「ラス・ステープルの劣化を考慮した耐久性評価方法(案)」および「木材の含水率を考慮したラス下地材等の留付強度評価方法(案)」を提案し、実験の概要および評価手法の考え方を記述しました。
  関連報告(検証試験、資料調査)


住宅各部位 の劣化状況、要因、対応方法を把握し、設計・施工に役立てたい!
木造住宅外皮各部に生じている不具合の事例は、木造住宅の設計・施工における劣化リスクの所在を確認し、劣化発生状況を理解する上で貴重な情報源です。このため、木造住宅外皮における不具合の発生傾向と原因を整理するとともに、屋根、外壁、バルコニー基礎・床下の各部位で、発生している不具合事例を収集して、不具合の状況、発生要因、対応および制御に関する考察を加えた事例調査シートに整理し、これらを住まい手の耐久性に関する関心を高め、作り手の劣化抑制への意識向上に有用な資料として取りまとめました。



第4編 【造り手向け】 設計・施工ガイドライン

耐久性の高い屋根の仕様と施工要領を把握したい!
 
屋根葺き材と下葺き材の間に通気空間を確保することにより、通常の下地構法に比して、高い防水信頼性を有し、かつ長期間屋根下地部材および小屋組部材の劣化抑制が可能な屋根葺き下地を構成する屋根葺き構法の確立を目指し、実大屋根における施工実験、屋根試験体の暴露試験を実施しました。併せて各部納まりおよび施工方法について検討し、その結果に基づいて、通気下地屋根構法の設計施工要領(案)を提案しました。
  関連報告(検証試験)

開口部、屋根、バルコニーの雨水浸入要因と推奨する納まりを把握したい!
 
これまでの調査により、木造住宅外壁で最も漏水リスクの高い部位であることが明らかになっている「開口部取合い部(乾式外壁、湿式外壁)」「屋根取合い部」「バルコニー(手すり壁、排水等)」の現状の納まりについて、劣化要因の分析を行うとともに、劣化リスクを明確にするため各種の実験を行い、これらの結果に基づいて劣化対策上望ましい納まりを検討し、推奨納まり図(案)として提示しました。

真壁木造外壁の実態や、防水設計・施工の方法を把握したい!
 
真壁構造外壁の特性、性能評価における課題、採用の現状、既往の知見等を整理・分析したうえで、伝統土壁構法、モルタル真壁直張り構法およびモルタル真壁通気構法を対象に、木部-外壁取合い部の防水性に関して、アンケート調査、ヒアリングおよび散水実験等を行い、その結果に基づき、真壁木造外壁の防水設計施工基準(案)を提案しました。
  関連報告(アンケート・ヒアリング調査)

外皮内に確保すべき通気経路や換気口のディテールについて把握したい!
 
現在の木造住宅外皮構造に求められる耐震性、省エネルギー性、防水性、防耐火性等の性能を満たしつつ雨水浸入や結露による木材の水分劣化リスクを軽減し耐久性を維持・向上するため、外皮内の換気・通気は極めて重要であるが、小屋裏、床下空間を除き明確な基準が示されていません。
  このため、外壁、バルコニーなどを含め、住宅外皮全体において確保すべき通気経路を明確にするとともに、各経路において適用し得る換気口のディテールについて検討し、それらをガイドラインとしてまとめました。




第1編全体


第2編全体


第3編全体


第4編全体


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国土交通省 国土技術政策総合研究