ストック重視に関する研究

マンションの建替え・改修等による再生手法に関する研究

    • マンションは、そのストック数が平成15年末で約447万戸あり、国民の約1割(1,100万人)が居住する都市の居住形態として広く普及しましたが、一方で、時間の経過につれて、老朽化又は陳腐化したマンションが増えつつあり、今後、その数はさらに急速に増加することが懸念されます。マンションにおける居住環境を良好な状態に維持又は改善し、その資産価値を維持していくためには、大規模修繕や改修、建替えなどの「マンション再生」に取り組む必要があり、それらに係る研究開発を実施しています。

      1.  住宅計画研究室では、マンションの建替え手法に関する研究開発を継続的に実施してきており、その成果は「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」の制定(平成14年6月)及び「建物の区分所有等に関する法律」の改正(平成14年12月)に反映されました。
         また、建替えに向けた合意形成に関する研究成果をもとに、「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」及び「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」を作成し、住宅局市街地建築課と共同で公表(平成15年1月)しました。
         建替えの円滑化の一方で、マンションは建物を長期間活用してゆくことが基本となることから、従来の原状回復のための「修繕」を超える「改修」によりマンションを再生する手法についての研究開発も実施しています。
         この研究成果をもとに、マンションの居住環境の維持・向上、長寿命化のためのマンション共用部分の改修の手法等について取りまとめた「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」を作成し、住宅局市街地建築課と共同で公表(平成16年6月)しました。

公営住宅のストックマネジメント手法に関する研究

    • 我が国の公営住宅ストックは、平成12年度時点で約217万戸、このうち昭和40年代に建設されたものが最も多く、37%、79万戸を占めます。今後、これら昭和40年代の膨大なストックが更新期(耐用年限の2分の1(耐火構造の場合35年)経過)を迎えます。公営住宅の更新については、昭和30年代ストックから順次建替が行われてきていますが、最近10年間の建替戸数は25万戸であることから、建替のみでは今後の膨大なストックの更新を進めることは困難となることや、地球環境問題への関心の高まりを受けて、ストックの有効活用を図っていくことが社会的に要請されています。
    • このため、公営住宅の各管理主体(地方公共団体)が、全ストックの効率的な活用方策を判断できるための指針づくりを行っています。