研究成果概要

国総研資料 第 1344 号


【資 料 名】 船舶の係留施設への衝突事故に関する基礎的分析(その2)
【概   要】

 国総研資料 No.1134(前報)では,運輸安全委員会の事故調査報告書を基に,船舶の係留施設への衝突事故について, 主として事故に至る経緯や操船状況等に着目した基礎的分析を行った.本資料では,国有港湾施設毀損事故報告書および復旧報告書に基づき, 360件の係留施設の損傷事案を対象として,前報での基礎的分析の項目を続編として部分的に踏襲するとともに,係留施設側の損傷内容や 復旧工期および復旧コストに着目した基礎的分析を加えた.
 2017~2021年度に発生した国有係留施設の毀損事故を対象に分析を行った結果,係留施設本体および防舷材の損傷は, 他の付帯設備と比較して復旧工費が高額となり,復旧工期も長期化しやすい傾向が確認された.特に防舷材については,在庫や予備品の有無, 製作期間,施工条件等が復旧工期に大きく影響し,係留中のうねり等により複数基が同時に損傷するケースでは,港湾機能への影響が大きくなることが 明らかとなった.また,事故発生時の船舶の状況(着岸時,離岸時,係留中等)や船体衝突箇所と,損傷を受ける係留施設の設備種別との間に, 以下をはじめとするいくつかの傾向(関係性)が確認された.
・係留施設本体への衝突は着岸時の船首側の衝突に集中する.
・上部工,防舷材,係船柱への衝突は6割前後が着岸時に発生している.
・車止やコーナー材への衝突は着岸時と同じく離岸時においても4割程度が発生し,
 離岸時の船舶の接触個所は船尾側が多い.
 本資料で得られた知見により,係留施設の計画・設計・維持管理および事故防止や復旧,被害軽減の視点から, 船舶衝突の実態や復旧負担の大きさを考慮した対策の検討を行うための基礎資料として活用されることが期待される.

【担当研究室】 港湾・沿岸海洋研究部
【執 筆 者】 松田 茂、宮田 正史、中本 隆(港湾空港技術研究所)


研究資料全文

全 文

2,935KB
 

1. はじめに

1.1 背景
1.2 本資料の目的及び構成

2. 既往研究及び対象データ

2.1 既往研究
2.2 対象データ及び整理方法

3. 事故・損傷の全体像

3.1 はじめに
3.2 係留施設の水深・構造形式
3.3 係留施設損傷の原因
3.4 事故船舶の船型・船種
3.5 事故の発生地域

4. 船舶側の実態

4.1 はじめに
4.2 船舶起因の事故における発生のタイミング
4.3 船舶起因の事故における船種ごとの船体衝突箇所
4.4 船舶起因の事故における船種ごとの船体衝突箇所とタイミングの関係

5. 係留施設の損傷の実態

5.1 はじめに
5.2 係留施設損傷の全体
5.3 各設備の損傷
5.4 各設備損傷と船舶の状況,船体衝突箇所の関係
5.5 特定要因による係留施設損傷

6. 復旧の実態

6.1 はじめに
6.2 復旧期間及び復旧工期
6.3 設備別の復旧工期及び平均損傷基数
6.4 設備別の復旧コスト
6.5 復旧工期と復旧コストの関係
6.6 特殊な設備の復旧コスト
6.7 損傷の状況や条件に応じた復旧コストの比較
6.8 防舷材損傷時の早期機能回復に向けた取り組み事例

7. まとめ及び今後に向けて

7.1 まとめ
7.2 今後に向けて

謝辞

参考文献