【概 要】 |
米国国内や欧州の航空ネットワークでは,ローコストキャリアの台
頭により二地点間輸送の形態が拡大し,ハブアンドスポークの全盛の時代から大きな変化が生じている.この傾向は一部のアジア地域にも現れつつある.さら
に,航空機材に着目すると,リージョナルジェットと呼ばれる小型ジェット機の航空ネットワークへの投入が進んでいる.また,中国をはじめとする東アジア諸
国では,経済成長に後押しされた航空需要の伸びが大きく,高い水準の成長率を示している.
こうした国際航空ネットワーク市場の動きは我が国の航空市場にも影響を及ぼすと考えられ,航空政策においても,自国だけではなく東アジア全体の航空市場
を視野に入れる必要がある.本研究は,東アジアの航空輸送市場を見据えた政策決定を支援するツールとして,東アジアの国際航空ネットワークにおける旅客流動分析モデ
ルを構築した.さらに,モデルの検証を行うため,仮想的な将来シナリオとして,中国のOD需要増加シナリオと東アジア域内における機材小型化などのいくつ
かのシナリオを設定し,モデルの挙動解析を行った.その結果,個々の航空路線や空港における再現性や,外生インパクトに対して敏感という課題を残すもの
の,東アジアの航空旅客流動パターンを概ね再現可能な手法であり,今後のシナリオ分析に有用なツールとなることを確認することが出来た.
|