【概 要】 | 地球温暖化ガスの排出量削減など,環境問題への取り組みがますます重要視されつつあり,それは港湾整備事業においても例外ではない。環境対策を推進するためには,港湾のライフサイクル全体を対象とした環境負荷の発生量を正しく把握することが前提となる。 筆者らは既報において,平均速度を変数として燃料消費量を推計する式を作成した。しかし,その式は特定のドライバーに対して行った実験結果を基にしているため,一般性について検証を行う必要があった。 そこで本研究では,港湾エリア及び高速道路を走行するトレーラーを対象として,燃料消費量を把握することが可能なモデルを構築することにより,走行実験を行わなくてもトレーラーの燃料消費量の推計を可能とするとともに,ドライバーの運動特性が燃料消費量に与える影響を把握することを目的とする。 港湾エリア,高速道路を対象として行った走行実験の結果を基に,速度・加速度のデータから,走行抵抗を算出し,抵抗に対する仕事量と燃料消費に伴う熱量と比較した。次に,速度の推移を基に,運転パターンを数値化し,燃料消費量の推計モデルを構築した。最後に,数値化した運転パターンを用いて推定した燃料消費量の値と,実測された燃料消費量の比較を行い,モデルの推計精度を検証するとともに,運転パターンが燃料消費量に与える影響について分析を行った。 その結果,走行抵抗に対する仕事量と,燃料消費に伴う熱量の間には高い相関が認められ,走行抵抗を算出することにより燃料消費量を推計することが出来ることが明らかとなった。そして,走行エリアごとに燃料消費量を推計するモデルを構築した結果,推計結果と実測値の間にはよい相関が認められ,推計モデルの有効性を示すことが出来た。また,推計された燃料消費量の値には,ドライバーによって20〜30%程度の誤差が生じることが明らかとなった。 |