研究成果概要


国総研資料 第 102 号

【資 料 名】 空港コンクリート舗装における一貫養生の適用性

【概   要】 空港におけるコンクリート舗装工事の現行の養生方法では, 初期養生として希釈した養生剤を舗装表面に塗布し,養生剤が乾燥した後,後期養生として養生マットでコ ンクリート版表面を覆い,養生マット上に散水を行うことで,所定の期間,コンクリート表面湿潤状態に保つ散 水養生が一般的に行われている。しかし,工事区域周辺を通行する航空機のプラストにより養生マットが飛 散して航空機の運行上の支障になったり,普通セメントを用いた場合には,打設後14日間は散水が必要に なるなど,作業量・工事費用の点から改善が望まれるところである。本研究では,従来の初期養生よりも高 濃度の被膜養生剤を,打設後のコンクリート舗装表面に塗布することによる,初期・後期一貫養生の空港コン クリート舗装への適用性を検討した。まず,室内試験によりコンクリートの収縮特性,曲げ強度およびセメント モルタルからの水分損失量を計測し,一貫養生と散水養生の比較を行った。次に,屋外においてコンクリート 試験舗装を製作し,一貫養生と散水養生を施した区画において,コンクリート版内のひずみと温度の計測,F WDによるたわみ量測定や切取供試体による強度確認試験を行い,一貫養生を適用した場合の自然環境下 におけるコンクリート版の変形特性,強度特性について検討した。コンクリート版の収縮に関しては,十分な 塗布濃度による一貫養生を行えば,初期の収縮量は散水養生には及ばないものの,長期的な収縮量は散 水養生の場合と大差がないことが確認された。また,コンクリートの収縮量はセメントモルタルからの水分損 失量との相関が高いことがわかった。コンクリート版の曲げ強度に関しては,短期的には一貫養生のほうが 散水養生よりも若干低い曲げ強度となるが,長期的には一貫養生を適用した場合でも,散水養生と同程度 の曲げ強度を発現することがわかった。温度変化によってコンクリート版内に発生する拘束応力に関しては, 養生方法による違いはほとんどなく,コンクリート版厚,横方向目地間隔としては,現行のものをそのまま適 用可能であることがわかった。

【担当研究室】 空港施設研究室

【執 筆 者】 八谷好高,坪川将丈,松崎和博



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