【試験地紹介シリーズbW(大毛無山)】

 建設省では全国の雪崩危険箇所を対象として施設による対策を鋭意推進しているところですが、集落を保全対象とした雪崩危険箇所は全国に15,000箇所以上(人家5戸以上もしくは公共的建物を対象)あり、現在その整備率はまだ1%程度と非常に低い状況にあります。そのため、雪崩の発生危険度を事前に予測し、雪崩が発生する前に住民に避難を促すといった対策が一方で強く望まれています。そこで土木研究所では、精度の高い雪崩発生危険度予測手法の開発を一つの課題として掲げ、調査研究を行っています。


写真−1:大毛無山全景
 対象とする雪崩は、その予知が困難であり、ひとたび発生すると大きな災害となる可能性の高い表層雪崩です。
  この雪崩は積雪層の中に弱層と呼ばれる強度の低い層や層境界が存在し、その層の上部に積もった積雪とのバランスが崩れることにより雪崩となります。
これまで土木研究所や他の研究機関によりこの弱層の種類や形成条件が研究されてきましたが、さらに研究を発展させるために、当所では厳冬期に容易に調査に入ることが可能な大毛無山斜面をフィールドとして平成8年度より観測を行っています。
 
 大毛無山(標高1,492m)は新井市の西方に位置し、稜線を南北に拡げる美しい山であり(写真−1)、斜面にはARAI MOUNTAIN & SNOW PARK(スキー場)が広がっています。ここでは晴れた日にはリフト終点付近から高田平野、さらには日本海までを望むことが出来、ロング・コースと相まって感動を覚えるスキー場です。調査にあたっては、スキー場管理者であるARAIリゾート鰍フ協力を得、スキー場周辺(コース外)において標高別に3地点の観測地を決め、厳冬期に定期的に積雪断面観測を行っています(写真−2)。  
写真−2:積雪断面観測風景

写真−3:確認された弱層
この観測により積雪の性質、さらには弱層に関する情報が得られ(写真−3)、周辺で別途行っている気象観測データとを併せて弱層の形成条件や形成過程、さらにはせん断強度の推移等を分析していくことになります。
そして、これらから得られた結果は雪崩発生危険度予測手法の精度向上に活かしていくことにしています。
ここ数年は暖冬少雪傾向となっていますが、それでも大毛無山の山頂付近では毎年7mを越えるような積雪を記録しており、雪崩発生条件に関する観測を行うには非常に適した場所であると言えます。
(文責:石田)

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