伏せ越し型雨水貯留管におけるマンホール(人孔)蓋に加わる内圧の算定手法(案)

国土技術政策総合研究所 下水道研究室


 近年、集中豪雨の下水道への流入により人孔蓋が浮上・飛散する現象がみられるようになり、平成10年には高知県で蓋の飛んだ人孔に人が落ちて死亡する事故が発生した。

 現行の人孔蓋の浮上・飛散防止対策は、具体的な数値計算等を用いた設計によるものではなく、経験に基づくものや条件に関わらず一律に設定されているものが大部分であるため、施設の設計段階から科学的理論及び実験に裏打ちされた設計手法を確立することが必要となっていた。

そこで、国土技術政策総合研究所(以下、国総研)では、理論及び実験に基づいた数値解析モデル1)2)を構築し、これを使って様々な条件における計算結果を下記4のとおり簡易判定図表に取りまとめたのでここに公表する。

簡易判定図表により、雨水貯留管などの伏せ越し型管路の設計段階において、当該施設の設計条件に対応する危険度を把握できるものと考えられる。残された課題としては中間人孔や様々な流入形式への対応等がある。

なお、本調査研究は川崎市、横浜市、名古屋市、大阪市、福岡市、(財)下水道新技術推進機構及び国総研の共同研究によって行われ、国総研は理論構築、水理模型実験及びコンピューターシミュレーション(数値解析)を担当した。


マンホール蓋浮上・飛散現象の概要

伏せ越し型雨水貯留管におけるマンホール(人孔)蓋に加わる内圧の算定手法(案)の概要


1.安全性照査の流れ

2.簡易判定図表について

3.簡易判定図表の使用方法

4.簡易判定図表


【参考文献】

1) 森 博昭,那須 基,森田弘昭:伏せ越し形状の貯留管における空気と水の混相流を考慮した数値解析モデル,第41回下水道研究発表会講演集,(社)日本下水道協会,306-308,2004.7

2) 森 博昭,那須 基,松原 誠,藤生和也,森田弘昭:伏せ越し形状貯留管における空気と水の混相流を考慮した数値解析モデルの開発,下水道協会誌,Vol.41,No.506,105-116,2004.12


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