研究成果概要


国総研資料 第 241 号

【資 料 名】 異常潮位がケーソン式防波堤の外的安定性に及ぼす影響について

【概   要】 近年,多発しているといわれる異常潮位(高潮・津波を除いた天文潮からの潮位偏差)は,その発生実態の把握や要因についての考察はなされているものの,具体的な港湾・海岸施設に対する影響については定性的な評価に留まっていた.異常潮位という不確実性の高い現象の影響評価にあっては,確立・統計手法に基づく信頼性評価を行う必要がある.
 本研究は,代表的な港湾施設であるケーソン式防波堤を対象とし,その外的安定性(滑動,転倒)に関する異常潮位の影響を,信頼性理論によって評価するものである.まず,全国97箇所,最大29年間の検潮記録を用いた統計解析を実施した.その結果,異常潮位の発生確率分布は正規分布に従うとともに,特に関東〜南海にかけての太平洋側において,標準偏差が大きくかつ年々増加傾向にあることを明らかにした. 続いて,全国76施設のケーソン式防波堤の建設事例を対象とした信頼性解析(FORM)を実施し,異常潮位の考慮の有無が,滑動および転倒安定性に及ぼす影響を評価した.その結果,異常潮位の影響度は小さく,それは潮位の感度が波力や摩擦係数に比べて小さいためであることがわかった.

【担当研究室】 港湾施設研究室

【執 筆 者】 吉岡健,長尾毅,木部英治,下野隆司,松本英雄



表 紙 23KB
中 扉 96KB
目 次 28KB
本 文 1,503KB
参考文献 2,851KB
奥 付 13KB

全 文 4,508KB