研究成果概要


国総研資料 第 197 号

【資 料 名】 廃棄物からエネルギーを回収する技術の調査

【概   要】 温室効果ガスの排出削減の義務化や最終処分場用地の逼迫など,喫緊の環境問題に対処するため,廃棄物からエネルギーを回収するとともに最終処分量を削減する技術が開発されつつある。 各技術には,それぞれ収集・転換・利用・副産物処理の要素が含まれるため,立地場所や周辺環境がもたらす影響についても把握する必要がある。また,エネルギー回収施設は港湾に多く立地されており,そのメリット・デメリットを把握することが,今後の施設立地を考える上で 不可欠である。そこで本研究では,各技術の実用化事例を調査し,これらの技術を普及させるために克服しなければならない経済的な課題,技術的な課題について整理を行うことを目的とする。廃棄物からエネルギーを回収する技術の実用化事例について,エネルギー回収量, エネルギー投入量,建設費,運営費等の運転実績の調査を行った。対象とした技術は,生ごみメタン発酵施設,下水汚泥のエネルギー利用施設,家畜排泄物バイオガス化施設,ごみ発電施設,スーパーごみ発電施設,RDFの発電施設である。調査結果を基に,各技術が持つ 特色及び普及に向けた課題について整理した。研究によって得られた主な知見は以下の通りである。
○バイオガス発電施設が普及する上での課題としては,メタン発酵に時間がかかるために広い敷地が必要となることや,消化液を肥料として利用できない場合,その処理 費用が高価となることが挙げられる。
○ごみ発電施設が普及する上での課題としては,発電効率を上げるために,ガスタービン出力を上げることには経済的インセンティブが働かないこと,新しい配管の材質の開発が進むと,スーパーごみ発電方式は不要となること,ごみ行 政の変化に伴うごみ組成の変化によって出力が変化することが挙げられる。
○RDF施設が普及する上での課題としては,ダイオキシン問題が沈静化したため,メリットが薄れていること,爆発事故の影響で,安全対策にかかる費用が高価になっていること,製造施設と発電 施設の需給バランスを取らないと,輸送費が高くなることが挙げられる。これらの結果は,港湾整備に伴う環境負荷を検討する際の基礎資料となるものである。

【担当研究室】 沿岸域システム研究室

【執 筆 者】 村野昭人,鈴木武



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中 扉 302KB
目 次 295KB
本 文 576KB
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