研究成果概要


国総研研究報告 第 39 号

【資 料 名】 中国におけるコンテナターミナル整備と輸送費用削減効果
〜国際貨物流動モデルの拡張とシミュレーション分析〜


【概   要】 近年の高度経済成長および貿易の進展に伴い,中国各港湾におけるコンテナ貨物取扱量についても,これまで急激に増加してきた.これに対し,各港湾においては,上海港洋山ターミナルをはじめとする新規ターミナルの建設や既存バースの増深など,積極的に投資が行われており,今後も,各主要港において引き続き新規ターミナルが開業する予定となっている.このため,インフラの供給が需要に対して絶対的に不足しているという状況は過去のものとなりつつあり,今後は,中国においても,港湾間・ターミナル間の競争が激しくなるものと予想される.そこで本研究は,はじめに,中国における貿易・コンテナ取り扱いの現状や,コンテナターミナル整備の状況について整理し,3大主要地域(華北・華中・華南)におけるターミナル間競争の状況に関する考察を行う.さらに,これらを踏まえ,筆者らがこれまでに構築してきた国際貨物流動シミュレーションモデルを拡張して適用することにより,過去に中国で行われたコンテナターミナルの整備が,中国発着貨物の輸送費削減にどの程度寄与したかについて,定量的な計測を行うものである.その結果,構築された国際貨物流動シミュレーションモデルによって,過去の流動パターンに将来の貨物需要や港湾投資状況を入力して,将来の流動パターンを予測することが可能であることが示された.また,1998〜2003 年の中国におけるコンテナターミナル投資により,一切投資が行われなかったと仮定した場合と比較し,内陸輸送貨物量(トンキロベース)で約9.0%,海上輸送も含めた総輸送費用ベースで約3.7%などといった削減効果を示すことができた.また,国内地域別や相手国別の輸送費用削減率や,中国発着貨物以外の貨物における費用削減効果についても示すことができた.

【担当研究室】 港湾研究部

【執 筆 者】 柴崎隆一



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