土砂災害研究室
SNSを活用した土砂災害対策

更新情報

■「つぶやき」情報から土砂災害の予兆を把握!

土砂災害から地域の住民の命を守るためには、どこが危ないのかという情報に加え、いつ危なくなるのかということに関した情報が重要になります。

いつ危なくなるのかに関しては、大雨に関する情報から土砂災害の危険度を推定する手法や、斜面や渓流の変状をいち早く知るためのセンサの開発がなされてきました。このうち、センサの活用については、土石流の発生そのものをとらえるワイヤセンサや、土石流による地盤振動をとらえる振動センサのような「物理センサ」が開発されてきましたが、ここにきて「ソーシャルセンサ」の活用、システム化に期待が高まっています。

そこで、土砂災害研究室では、2014年7月、豪雨時に何気なくつぶやかれる「Tweet」を分析することによって、これまで行政として把握することが難しかった「地鳴り」「土臭い」などの土砂災害の前兆現象をいち早く把握し、自治体等に提供するための技術(ソーシャルセンサ活用技術)の開発を目指す研究に着手しました。

ここでは、SNS(Social Networking Service)、特にTwitterを「ソーシャルセンサ」と位置づけ、ユーザーによって感知された情報を防災に生かす取り組みについて紹介します。

■物理センサ・ソーシャルセンサにより計測・感知される防災関係情報の分類

SNS(この場合特にTwitter)は、そのユーザーが感知したことを文字情報等としてソーシャルメディア上に投稿(出力)する過程が、地震計や雨量計などの物理センサの構造と良く似ており、Twitterユーザー自体をソーシャルセンサと位置づけ、投稿される情報を活用することによって、これまで物理センサでは観測できなかった多様な現象を観測できるようになるとの指摘があります。

図は、社会に存在する防災に関連する様々な情報(ビッグデータ)について、物理センサによって計測収集されているもの、ソーシャルセンサによって感知されているもの(され得るもの)について試行的に分類したものです。

物理センサについては、雨量計等のように防災に関わる物理現象を直接観測された情報、プローブ情報システムのように、自動車のワイパー稼働情報のように本来防災とは関係なく計測された物理現象を収集し統計処理することによって防災目的にも活用可能となった情報、ソーシャルセンサについては、ウェザーニューズ社の登録会員からの提供情報のように、目的を共有したメンバーとメンバー、メンバーと管理者間で共有される情報、SNSユーザーによってソーシャルメディア上に投稿され流通している情報の4つに分類してみました。

今回着手した研究は、SNSユーザーによって無意識のうちにソーシャルメディア上に投稿されている情報から有用な情報を見つけ出し、防災に役立てることに焦点を当てています。

ソーシャルメディア上の情報は、物理センサによって得られた情報や、防災コミュニティー間で流通している情報に比べ、信頼性は劣るかもしれませんが、非常に高い迅速性を有している可能性を秘めており、豪雨時に地域がどのような切迫した状況になっているかを把握するツールとして活用できるようになることを期待しています。