国総研資料 第 1250 号 |
【資 料 名】 | マルチビーム測深を活用した基礎捨石均しの出来形管理に関する検討 |
【概 要】 | 国土交通省では,少子高齢化に伴う労働力不足を上回る生産性向上を目指して,全ての建設生産プ ロセスでICT等を活用し,2025年までに建設現場の生産性を2割向上させるi-Constructionの取組を推進している.港湾分野では,2017年よりマルチビーム測深の導入が進められており,浚渫工,床掘工の出来形管理等に活用されている.一方,基礎捨石均しについては,浚渫工,床掘工よりも出来形管理の測定単位及び許容範囲が小さく,また計測対象が平面ではなく凹凸を有する形状であることから,マルチビーム測深による出来形管理が未だ導入されていない. 本研究は,基礎捨石均しの出来形管理へマルチビーム測深を導入することを目的に,マルチビーム測深による基礎捨石均しの出来形計測手法を提案し,別途現地試験において提案した手法の精度検証を行うものである.基礎捨石均しの天端高の出来形計測については,潮位による誤差に対応するため, 標定点を設置し補正を行う.また,計測対象が凹凸を有する形状であることに対応するため,取得する測深データの標準偏差で最浅値を算定する.基礎捨石均しの天端幅・延長の出来形計測については,出来形管理基準の計測単位である10cm四方の平面格子による格子単位の判定を行う. 6ヶ所の施工現場で現地試験を行った結果,天端高については,提案したマルチビーム測深による計測結果が設計値に対して80 %以上の達成率となり,提案手法を用いることで出来形計測に十分な計測精度を有していることが確認できた.ただし,キャリブレーションの計測値のばらつきが他の現場より大きかった現場では達成率が80%に達しなかった.天端幅・延長については,提案した出来形計測手法では定量的な出来形の評価が困難であった.今後,天端高の計測については,キャリブレーションにおける計測値のばらつきと達成率の関係を整理するとともに,出来形管理要領類の作成に向けた検討を進める.天端幅・延長の出来形計測については,格子単位の判定で用いる適切な格子サイズ等について引き続き検討を行う. |
【担当研究室】 | 港湾情報化支援センター 港湾業務情報化研究室 |
【執 筆 者】 | 川上司,辰巳大介,小川雅史,小嶋一弘 |
研究資料全文
4,971KB | |
目 次 |
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1. はじめに | ||
1.1 背景と目的 | ||
1.2 構成 | ||
2. マルチビーム測深における基礎捨石均しの天端高計測手法の検討 | ||
2.1 基礎捨石均しの天端高の計測精度に関する課題 | ||
2.2 マルチビーム測深における潮位による誤差の低減手法の検討 | ||
2.3 基礎捨石均しの天端高の最浅値の算定手法の検討 | ||
2.4 提案する計測手法の現地計測における達成率の検証 | ||
3. 現地試験による天端高計測手法の検討 | ||
3.1 現地試験の概要 | ||
3.2 現地試験の計測結果 | ||
3.3 提案した計測手法の評価 | ||
4. 天端幅・延長の計測手法の検討 | 4.1 天端幅・延長の計測手法の概要 | |
4.2 3次元点群データを用いた断面評価 | ||
4.3 平面格子を用いた面評価 | ||
4.4 提案した計測手法の評価 | ||
5. おわりに | ||
謝辞 | ||
参考文献 |