研究成果概要

国総研資料 第 1226 号


【資 料 名】 既存港湾施設の点検・補修・利用制限等の判断に資する情報提供システムの開発及び改良
~点検診断結果から保有性能評価・劣化予測・類似施設の情報提供等を行う評価ツールについて~
【概   要】  既存港湾施設では,未だ老朽化に起因する事故・損傷が発生している.その背景として,港湾管理者は,人員等が限られ,技術的な専門知識も十分に有していないことが多いため,効果的な点検, 補修及び利用制限等の実施時期及び範囲等を判断することが困難なこと等が挙げられる.一方で,既 存港湾施設の保有性能を定量的に評価するためには,専門家による詳細調査を実施する必要があり, 費用及び時間を要する.安全で効率的(時間・費用)な維持管理のため,簡易な目視等による点検診 断結果を用いた,保有性能の評価等による点検,補修及び利用制限等の実施時期及び範囲等の判断 に資するツールが必要である.
 そこで,保有性能の要素技術及び既存知見を活用して,点検診断結果を入力することで港湾施設 の保有性能の評価,劣化予測を行うとともに類似施設情報等を提供する「既存港湾施設の点検・補修・ 利用制限等の判断に資する情報提供システム」を開発し,2019年8月から国土技術政策総合研究所港 湾研究部港湾施工システム・保全研究室のホームページで公開し,運用を開始した.また,その後, 港湾管理者へのヒアリング調査結果等を踏まえて,一部改良し,2021年度に改良版を公開した.
 本資料は,上記情報提供システムの開発及び改良概要を,港湾管理者へのヒアリング調査と共に整 理したものである.また,この情報提供システムを開発等した際,港湾施設の今後50年間で必要とな るライフサイクルコストを算出し,情報提供システムにそのLCC情報を提供する,港湾構造物 LCC 計算プログラムも改良した.そこで,このLCC計算プログラムの改良概要も,プログラム利用実態調 査と共に併せて整理した.
【担当研究室】 港湾施工システム・保全研究室
【執 筆 者】 坂田 憲治,井山 繁,辰巳 大介


研究資料全文

全 文

4,003KB
 

目 次

1. はじめに
2. 既存港湾施設の点検・補修・利用制限等の判断に資する情報提供システムの開発及び改良
3. 港湾構造物 LCC 計算プログラムの改良
4. おわりに
謝辞
参考文献
  付録A 情報提供システムによる矢板式係船岸及び重力式係船岸のエプロン等の劣化度評価結果の可視化
  付録B 点検診断事例データベースの検索画面及び検索結果例(桟橋の場合)
  付録C 事故事例データベースの検索画面及び検索結果例