研究成果概要

国総研資料 第 1128 号


【資 料 名】 事業評価カルテを利用した港湾整備事業による産業部門別
輸送コスト削減の分析
【概   要】  我が国の港湾は、一部の専用的な施設を除いて公的な資金を投入して整備されているため,投資の 妥当性を判断するために公共事業評価が行われている.その費用便益分析では,港湾整備事業による 輸送コスト削減便益が計上されているが,直接港湾の利用に関わらない国民にとってはその効果を実 感として捉えることが難しい.そこで,港湾整備事業のストック効果を実感しやすいものとして,地 域及び他の産業への経済波及効果を提示することが有効である.
 本分析では,以上の背景を踏まえ,港湾整備事業における産業部門別の輸送コスト削減額及び輸 出・輸入品及び国内生産品価格低減率を算定するものである.本資料においては,まず平成16年度か ら平成30年度に新規採択された事業を対象として事業評価カルテを基に事業種別の輸送コスト削減 便益を集計し,当該便益を港湾統計82品目別に整理を行い,産業連関表の産業部門37部門に対応させ た.さらに,産業連関部門別の便益を基に産業連関部門別の輸出・輸入品及び国内生産品価格低減率 を算出した.対象とした港湾整備事業の輸送コスト削減便益は合計3千億円/年を超え,貨物の価格低 減率は輸出品3.3%,輸入品4.3%,国内生産品においては0.09%であった.部門別の便益は輸送機械が 最も大きかったが,貨物の価格低減率では農林漁業及びパルプ・紙・木製品が大きかった.本分析の 成果は,港湾整備事業による輸送コスト削減効果の各国内産業への経済波及効果を算定する基礎資料 となるものである.
【担当研究室】 港湾システム研究室
【執 筆 者】 大前真人・佐々木友子・赤倉康寛
 

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