研究成果概要


国総研資料 第 854 号

【資 料 名】 平成26年12月17日低気圧による根室港及び周辺地域の高潮被害

【概   要】  本研究は,平成26年12月17日に根室港及び周辺地域で温帯低気圧による高潮被害が発生したため,その被害を把握することを目的として現地調査を行った.高潮の発生状況を再現する高潮数値シミュレーションを行った.また,道内の高潮・高波被害の全体像の把握及び根室市における過去の既往被災履歴の収集・整理を行った.
 現地調査では,根室市の高潮浸水痕跡はT.P. +1.9 m〜+2.5 mの高さであること,浸水経路として基本的には海面が上昇して岸壁等を超過して浸水したものの一部の地区では小規模な水路からの逆流が生じていたことを把握した.高潮数値シミュレーションでは,Myersモデルを含む経験的台風モデルの利用により,気象場は観測値に比べ強めに推算されているもののピーク起時・高さが概ね再現出来ていた.また,高潮推算結果もピーク起時・高さともに再現されていた.また,北海道東部において8自治体において高潮・高波による浸水被害が生じたこと,根室市では低気圧による高潮として陸上に浸水被害を生じる程度の規模のものは1935年以降の80年間で13イベントあったこと,及び,沿岸域の宅地開発状況等が異なるので注意が必要であるものの,浸水家屋数を尺度とすれば,根室市では低気圧による高潮として1960年以降で今回が最大のイベントであった可能性があることが分かった.

【担当研究室】 沿岸防災研究室

【執 筆 者】 熊谷 兼太郎,関 克己,藤木 峻,富田 孝史,鶴田 修己,酒井 和彦,山本 泰司,柿崎 永己



表 紙
中 扉
目 次
本 文
奥 付


全 文 18,315KB