研究成果資料


国総研資料 第 801 号

【資 料 名】 犠牲量モデルによる国際フェリー・RORO船輸送の貨物流動推計

【概   要】  アジア経済とのつながりが益々深まり,国際海上コンテナ輸送に比べて,より高速で効率的な輸送が可能な国際フェリー・RORO 船による輸送へのニーズも高まっている.我が国と近隣の中国や韓国等との間では,国際フェリー・RORO 船による航路の開設や航路ネットワークの拡充なども相次いでいるほか,韓国と中国,日本と韓国との間においては,貨物を積載したシャーシが港湾での積み替え無しに両国の国内輸送もできるシャーシの相互通行が,まだ一部の航路や貨物に限定はされているものの近年始まっている.
 このような背景を踏まえ,本資料は,既報の全国輸出入コンテナ貨物流動調査を用いた国際フェリー・RORO 船貨物の流動状況を分析したデータ等をもとにして,我が国と韓国・中国との間の国際海上輸送について,フェリーやRORO 船による貨物量輸送の状況を推計できるモデルを犠牲量モデルにより検討したものである.
 コンテナ船での輸送に比べて貨物量シェアが小さい国際フェリー・RORO 船の輸送貨物量の再現や,個別の輸送経路別の貨物量などについては一部再現性が十分とは言えない部分もあるが,所要時間の貨幣換算分と費用を加えた総犠牲量が最小となる経路が選択されるとする犠牲量モデルで,大阪湾や北部九州地域の国際フェリー・RORO 船貨物量をある程度再現可能なモデルが構築できた.また,構築したモデルを用いて既存の航路ネットワークの拡充や,シャーシの相互通行の導入などによる国際フェリー・RORO 船輸送の輸送サービス条件の変化が,貨物流動などにどのように影響を及ぼすかを定量的に分析できた.さらに,国際フェリーやRORO 船による輸送を選択している貨物は,費用と時間だけではなく,振動や衝撃が少ない輸送経路を選択することも多いことなどを,犠牲量モデルで今後どのように考慮していくべきかについても考察も加えた.

【担当研究室】 港湾システム研究室

【執 筆 者】 野田 厳,岩崎 幹平,渡部 富博,井山 繁,佐々木 友子



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