【資 料 名】 |
東京港の運河域における生物生息場としての浅場の分布 |
【概 要】 |
東京港においては,物流施設の整備,工場の立地のために埋め立てが行われてきた結果,多くの運河が存在する.これらの運河の一部の利用方法は,近年,産業活動の場から住居や商業活動の場へと変わってきている.多くの人々が訪れるようになった運河域は,人々に高い生態系サービスを与える場として期待されている.本研究では,運河域の生物生息場としての可能性を検討するために,運河域において生物が生息可能な浅場の存在量と空間分布特性を把握することを目的とする.
調査は東京港内の運河域で実施した.陸域から水域までの連続した地形情報を取得するため,レーザー測量と音響測深機を併用して計測を行った.また,この測量データを用いて水深帯毎の水域面積の集計が可能なシステムを構築した.
東京港内の運河域では-3m以浅の浅場が水域面積に対して14.5%を占め,83万m2の面積があった.その面積は多摩川河口干潟に匹敵し,三番瀬干潟の約6割に相当する面積だった.運河域を400m四方メッシュで分割したところ,約7割のメッシュで浅場割合が10%を超えており,広域的な浅場の存在が確認できた.これらのことから,東京港内において,広域的な生態系ネットワークの構築や生物の生活場や生活史を考慮した広域的かつ持続可能な生物生息場の創造の可能性があることが示された. |
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