【資 料 名】 |
輸送機関分担と単価に着目した国際貿易の品目間類似性および異質性に関する分析 |
【概 要】 |
近年,国際貨物輸送においては,航空輸送等,海上輸送以外のウェイトが増加していることから,国際貨物流動の予測を行う際は,その輸送機関分担についても考慮する必要があると考えられる.しかしながら,国際貿易におけ
る輸送機関分担を対象とした知見・研究蓄積は極めて少ない.また,FTA等の貿易政策や,各国の国内経済政策による国際物流への影響を分析するためには,
産業連関表やこれを基準均衡データとして用いる応用一般均衡モデル等の貿易モデルにより貿易額へのインパクトを推定し,さらに,交通分野の経路配分モデル
等の物流モデルに基づき実際の貨物流動への影響を把握するという段階的分析を要する.この際,貿易モデルの出力(貿易額)を物流モデルの入力(海上貨物
OD量等)に変換するにあたっては,輸送機関の分担率を所与とすることが多い.
しかしながら,国際的な分業体制の進展やSCMの浸透などにより,同一品目でも,場合によって海上輸送と航空輸送が使い分けされるなど,輸送機関の選択行
動が多様化していると考えられる.特に,品目別の物流モデルを構築する際には,より精度の高いモデルを効率的に構築するためにも,上記の分担特性,各品目
特性の類似性・異質性を十分に把握する必要がある.
そこで本論は,貿易と物流の関係についての知見を蓄積するため,貿易財の質的な特性,特に輸送機関分担という視点に着目した品目特性分析を行った.具体的
には,航空分担率の説明要因となりうる単価等の変数について,多変量解析手法である主成分分析およびクラスター分析を適用し,品目毎の特性整理および,特
性の類似度による品目グループ化を行った.本論は,このような品目特性分析のプロセスを整理するとともに,実データを用いた分析結果から品目グループ化の
候補案を示した.
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