研究成果概要


国総研資料 第 256 号

【資 料 名】 遮水シートを用いた遮水工を有する管理型廃棄物埋立護岸の地震時挙動に関する実験的研究

【概   要】  本研究では,遮水シートを用いた遮水工を有する重力式護岸形式の 管理型廃棄物埋立護岸を対象とし,地震動作用時における護岸変形が遮水工の遮水機能に及 ぼす影響を把握するための模型実験を行った.模型実験は,地盤中に敷設された遮水シートの地震時における動的変形挙動および残留変形状態について明らかに することを目的とした水中での模型振動実験と,地震動の作用による護岸変位ならびに地盤変位が遮水シートに及ぼす影響について明らかにすることを目的とし た気中での静的載荷実験を行った.          
 模型振動実験の結果,加振中および加振後に遮水シートに発生したひずみは場所によって異なり,最も大きなひずみが発生したのは裏込法肩から法面上部にか けてであった.ケーソンの変位と背後地盤の変形状態を計測した結果,加振中の遮水シートの変形挙動はケーソン上端の水平変位の挙動と相関性が高く,また, 加振後の残留ひずみ分布は背後地盤の変形に追随した結果であることが明らかになった.          
 静的載荷実験の結果,3枚の短繊維不織布と2枚の遮水シートからなる二重遮水シートは地盤の変形に伴って変形し,最大約60%のひずみが発生した.その 際,2枚の遮水シートに発生した発生したひずみがほぼ等しかったことから,2枚の遮水シートは一体となって変形したことがわかった.また,二重遮水シート の地盤への追随性は天端の固定条件によって変化し,地盤に追随して変形した場合においても遮水シートは破断しなかった.これにより,護岸変形に伴う地盤の 変形時の二重遮水シートの健全性が確認された.
以上の模型実験結果により,地震時においても遮水シートの遮水機能が保持され,地盤への追随性が損なわれないようにするためには,遮 水シートの天端端部をケーソン等の護岸構造物から切り離し,固定端を裏込天端上に設置することが重要であることが示唆された.

【担当研究室】 沿岸防災研究室

【執 筆 者】 狩野真吾,小田勝也



表 紙 81KB
中 扉 20KB
目 次 16KB
1章〜5章(p.1〜p.15) 989KB
6章〜9章(p.16〜p.24) 1,264KB
付録A 83KB
付録B 1,403KB
付録C 128KB
奥 付 63KB

全 文 3,888KB