研究成果概要


国総研資料 第 215 号

【資 料 名】 管理型廃棄物埋立護岸・遮水工の耐震性能照査手法に関する考察

【概   要】 廃棄物海面処分場からの保有水の漏出による周辺海域の長期的な水質汚濁を防ぐためには,処分場への廃棄物の厳格な受け入れ規制,遮水工からの漏水防止,漏水モニタリングなどの総合的な環境リスクの低減策を講じることが必要である。                 この研究では遮水工からの漏水防止の観点から,レベル2地震動に対する埋立護岸及び遮水工の耐震性能を, 重力式ケーソン護岸の2重遮水シートと, 傾斜式護岸の鋼矢板遮水工について, 2次元有効応力解析コードである「FLIP」を用いた解析によって照査するとともに, 構造上の弱点となる平面形状での隅角部の安全性について, 3次元静的解析結果にもとづいて考察した。
得られた結論は,次のとおりである。
@ 重力式ケーソン護岸(2重遮水シート)においては, DMMなどの良好な地盤改良を行なうことにより遮水工の近傍の地盤の変形が小さくなり, 遮水工の破壊を防ぐことができる。
A 傾斜式護岸(遮水矢板)においても, SCPなどの良好な地盤改良を行うことにより遮水矢板の変形と発生応力が小さくなり, 遮水工の破壊を防ぐことができる。しかしながら, 隅角部については3次元静的解析を行なった結果, 応力集中により矢板の発生応力が大きくなることが分かったので, 適切な対策が必要な場合がある。
B 信頼性の高い廃棄物埋立護岸を建設するためには, 地域の特性に応じてレベル2地震動に対する応答解析を行なって, 護岸, 遮水工及び周辺地盤の変形と応力を照査し, 必要に応じて適切な対策を講じることが望まれる。また、漏水モニタリングなどによって環境リスクの低減を図ることが必要である。

【担当研究部】 港湾研究部

【執 筆 者】 足立一美,安間清



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