【資 料 名】 |
三次元有限要素法による空港舗装構造の数値解析 |
【概 要】 | 空港舗装の荷重応答解析においては,舗装構造モデルと材
料特性の選定が重要である。後者は測定結果を逆解析することによって求められることが多く,ほとんどの場
合,多層弾性理論が使用されている。しかし,境界条件の制約等によりこの理論が用いられない状況も考え
られ,その場合には3次元有限要素法を採用せざるを得ない。本研究では,まず,基底縮小法により静的な三
次元有限要素法の効果的な逆解析プログラムを開発した。次に,計算効率を飛躍的に向上させるため,Ritzベ
クトルを用いて運動方程式を縮小化している。感度解析に対しても,運動方程式で作成したRitzベクトルの数を
若干増やすことで精度よく計算できることが明らかになった。最後に,走行する航空機輸荷重による動的応答
を解析し,相関パラメータと動的応答との関係について考察した。本研究により以下の点が明らかになった。
(1)Ritzベクトルを用いることによって計算の効率化を図ることができた。自由度25000以上の運動方程式をマ
トリックスサイズ10×10となる運動方程式に縮小しても精度が変わらないことが明らかになった。(2)運動方
程式から求めたRitzベクトルを25個用いて解析を行えば,十分な精度が得られることが明らかになった。(3)
逆解析において,Ritz ベクトルを30個程度用いれば真値に収束することが明らかになった。(4)移動荷重の
場合,アスファルトコンクリート(AC)層下面の水平方向ひずみは,引張ひずみとその前後に圧縮ひずみの状
態が発生する。路床上面の鉛直ひずみは常に圧縮状態にある。(5)移動荷重の速度は動的たわみと路床の
ひずみにほとんど影響しない。しかし,移動荷重速度が10m/sから40m/sに増加すると,AC厚下面の水平方
向ひずみは15%ほど減少する。(6)軸数は動的応答に影響を及ぼす。軸数が二軸から三軸に変わると,たわ
みは25%増加し,路床上面の鉛直ひずみは21%増加する。AC層下面のひずみは多軸配置において隣り合う
車軸の影響を受け,複雑に変化する。(7) 粘弾性材料としてモデル化して動的応答を行った場合,表面たわ
みは弾性動的応答の場合より小さくなる傾向にある。 |
【執 筆 者】 |
董勤喜,八谷好高,坪川将丈,松崎和博 |
|