研究成果概要


国総研資料 第 39 号

【資 料 名】 半たわみ性材料を用いた空港アスファルト舗装の補修・補強

【概   要】  空港アスファルト舗装では,大型ジェット機が就航する空港等,一部でわだちぼれといった過大な変形が生ずる事態になっている.補修・補強によって舗装を長寿命化することも可能であるが,その場合,耐変形抵抗性に優れ,しかも工事に伴う施設閉鎖期間を短縮可能な工法として,半たわみ性材料を用いる方法が考えられる.この半たわみ性材料は,まずアスファルト混合物を敷設し,次にその表面にセメントミルクを流し拡げて,アスファルト混合物中の空隙に浸透させるという手順によって施工される.アスファルト混合物とセメントミルクの複合体である.
 本研究では,半たわみ性材料を用いて空港アスファルト舗装をオーバーレイにより補修する場合の技術的方策を明らかにしている.具体的には,半たわみ性材料の力学特性を明らかにするための室内試験と,この材料を用いたオーバーレイの施工性ならびに航空機荷重に対する舗装構造としての安全性を検証するための試験施工を実施している.
 室内試験の結果,母体アスファルト混合物して改質アスファルトを用いた空隙率25%のものを使用し,母体アスファルト混合物施工後にその温度が80℃となった時点でセメントミルクを注入することにより,200mm厚の施工が可能となることがわかった.その場合,養生時間を2時間程度確保すれば交通開放が可能となることもわかった.また,構造設計に使用する繰返し曲げ試験における弾性係数は,ひずみ振幅が大きいほど,また周波数が小さいほど,小さいものとなる.
 現場施工試験の結果,200mm厚までのオーバーレイが十分可能であること,1,000回程度の航空機荷重の繰返し走行に対して十分な耐荷性を有すること,目地を設けることによる影響はほとんどみられないことがわかった.
 以上の結果を受けて,この材料を用いたオーバーレイの構造設計に関する基本方針として,構造解析手法として多層弾性理論を用い,オーバーレイ層の検討時には計算により得られるひずみを割り増し,既設アスファルト舗装の検討時には計算に使用する弾性係数の値を見かけ上低減するものをまとめた.

【担当研究室】 空港施設研究室

【執 筆 者】 八谷好高,坪川将丈,松崎和博,高橋修,阿部寛



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