研究成果 論文(概要)
タイトル
VRを活用した狭幅員道路の路面構造の検討 ~歩行者中心の空間形成を目指して~
概要
我が国では、身近な道路、いわゆる生活道路での歩行者の交通事故が大きな課題となっている。平成28年に作成された第10次交通安全基本計画においても、生活道路等においては「人」の視点に立った交通安全対策や歩行空間の整備を挙げており、様々な対策を進めていく必要がある。歩行者の安全性を確保するためには、歩行者と自動車の空間を物理的に分離する方法のほか、凸部や狭窄部といった物理的デバイスを設置し走行速度を抑制する方法があるが、幅員が6m以下の狭い道路では凸部を除き適用が難しい。こうした背景から、歩車の通行位置の物理的な分離や物理的デバイス以外の方法として、路面構造の工夫(舗装種類の変更、路面の色分け等)による対策が考えられる。路面構造の工夫に関する知見としては、幅員6mの道路において、車道外側線から車道側に歩行空間の色分けをにじみ出すことで、歩行者の安心感が向上し、走行速度も低下する可能性を既に示している。このように、幅員が6m程度であれば車道外側線によって歩行者と自動車の空間を分離する空間的余裕があるが、さらに幅員が狭くなると車道外側線の設置が難しく、同じ空間に歩車が混在する状況となる。こうした道路は、住宅地など生活に密着した道路では非常に多く見られることから、本研究では幅員4mの道路を対象に、路面構造の工夫による歩行者の安心感・安全性への影響に着目し、VR(ヴァーチャルリアリティ)を活用し調査した結果を報告する。
書誌情報
土木技術資料 Vol.62,No.1
著者
杉山 大祐, 大橋 幸子, 小林 寛