また、ノーマライゼーションの考え方の浸透を背景に、車いす使用者や視覚障害者にも利用しやすい歩行空間が望まれています。このような点から、高齢者や障害者を含めた歩行者が安全に通行できるよう、通行する部分の幅員を確保することや、段差・勾配を縮小すること、路面を平坦化すること、道路を横断する際の安全性を確保することなど、空間整備をはじめとした対策が求められています。
歩道など歩行空間が途切れている場合や、歩行空間の幅員が狭い場合などは、高齢者や障害者の通行に対して問題となります。これら問題点を改善していくことは、歩行空間におけるバリアフリー化を進める第一歩となります。
具体的なバリアフリー化の着眼点は次のように整理できます。
1)歩道高さ 歩道は、「車道より一段高い方が安心感がある」とされてきました。しかし、一段高いが故に、歩道に段差や勾配が生じているのも事実です。そのため当研究室では、35名の歩行者に参加していただき歩道の高さ(縁石高さ・歩行面高さ)に関する実験を行いました(車道を自動車が走行し、歩道上での危険感等を回答いただきました)。 実験で得られた危険感等に関する評価は図のとおりです(注:歩道種類の「10−10」とは「縁石高さ10cm、歩行面高さ10cm」の略記。縦軸は「問題でない」とした割合)。この結果、1)歩道の幅員が広いほど歩行者の評価は高い、2)歩行者の評価は、歩道の種類とはあまり関係しない、という2点がわかりました。今後は、幅員が広く、歩行面の高さを抑えた歩道形状としていくことが、バリアフリー構造として望ましいと考えられます。
歩道上の勾配は、高齢者や車いす使用者の通行に問題を生じさせます。当研究室では、33名の手動車いす使用者に参加いただき、歩道に生ずる勾配と車いす使用者の通行のしやすさについて実験を行いました(2%、4%、6%、8%、10%の5種類の勾配を通行いただき、危険感等を回答いただきました)。