第8回 コスト縮減

ダムは多くの犠牲を払って建設されます。ダム建設によってできる貯水池は、そこにあったものを水没させてしまいます。そこに住む人の生活、自然環境、風景…また、ダム建設工事自体も決して安いものではありません。
ダムによるメリットがあるからといって、コストが大きくても良いはずはありません。ダム建設におけるコスト縮減はとても重要です。今回はダム建設に伴うコストを縮減する取組みについて考えていきたいと思います。
まず、どのくらいのコストだったら許されるか?そもそもダム建設を行う必要があるのか?これを考える際、重要なのはダム建設によって得られるメリット、便益といいます。これとダム建設に要する費用、コストですね。この便益とコストの比が求められます。
便益がコストを上回って初めてダムが建設されるのです。でも、このコストを小さくすることができたら望ましいのはいうまでもありません。でも、簡単にコストが小さくできるわけではありません。絶え間ない努力、技術革新が必要です。
その1つが、現在開発が進められている、CSG工法です。CSGというと難しく聞こえますが、現地発生材、河床の砂礫を活用しようというものです。通常、ダム建設には質の高い材料が必要ですが、ダム建設時の掘削で発生する材料が使えれば、コストは少なくて済みますし、環境への影響も最小限に抑えることができます。
問題は、ダムに求められる安全性を確保できるかということです。現在、佐賀県の中木庭ダム、岐阜県の中野方ダム、沖縄の大保ダムで試験施工が行われているところで、その成果が期待されます。
この他にも、ダム放流時のエネルギーを発電に利用し、ダム管理に用いたりする努力も行われています。大きな犠牲を払うものであるからこそ、その犠牲を最小限にし、コストを縮減していくための努力が必要だと考えています。

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