第6回 濁水長期化とその対策

洪水の時の川はとても怖いものです。水が増えると、土砂のように川の周りのものをどんどん飲み込み、川の水は濁っていきます。ダムはこのような時に水を貯め、川の下流に流れる水の量を軽減して、洪水の危険から私たちの生活を守ってくれています。でも、濁った水がダムに入ると、この濁りがなかなか消えてくれないことがあります。
このままだと、下流に濁った水が流れてしまいます。せっかく活躍したダムもかわいそう。ここでは、皆さんと一緒にダムの濁水対策について考えていきたいと思います。
ダムの濁水は時間と共に変化します。ダムでは水の濁りが測定されていますが、中には常時計測が可能な装置を設けて24時間監視しているところもあります。
ダム貯水池のこの挙動に併せて濁っていないところから水を流せば、下流に濁った水は流れません。このため、今では多くのダムで「選択取水設備」という施設が設けられています。選択取水設備は、取水する場所を上下させ、さまざまな水深から水を取るための施設で、濁水対策にも効果があるものです。
また、濁った水がダム貯水池に入ってくるのは、大雨による出水時、特に出水初期に多いことが知られています。
ですから、出水時のある流入量までをバイパスする方法も有効です。大雨が降って、ダム貯水池に流入する水の量が増えていくと、この水は貯水池の手前でせき止められ、バイパスを流れていきます。もっと多くの水が流れ込んだ時はダム貯水池に流れ込みますが、洪水初期は過ぎているというわけです。
もちろん濁水の発生源を抑えることも大切です。「緑のダム」の時にも考えましたが、山の木々を大切にして水源地を保全していくことも大切です。
ダム事業でも貯水池周辺の緑地保全が行われています。濁水の挙動はまだまだ未解明の部分があります。ダムによるマイナス面を地道に減らし、プラス面を十分に生かしていくことが大切なのではないでしょうか?

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