第4回 ダム建設時の環境対策

ダム建設には多かれ少なかれ、何らかの影響が発生します。こうした影響を最小限に抑えることが大切です。
ダムによるメリット、デメリットを比べて十分考慮して建設されるダムですが、このメリットを活かしつつ、環境に共存するダム建設について、皆さんと一緒に考えてみましょう。
ダムによるメリット、デメリットを考慮し、ダム建設が必要と判断されると、ダム建設が環境に与える影響を評価します。事業者が環境に及ぼす影響を評価する環境アセスメントはそれまでも実績が積み重ねられてきましたが、平成9年に法律が公布されました。
ダム計画作成のためには、河川の水質、周辺の動植物などたくさんの項目について調査を行います。中には長い期間のデータを必要とするものもあります。地質調査のようにダムを設計するために必要な地質調査に併せて、こうした環境に関する調査を十分に行い、ダムの規模のようなおおよその計画が立てられます。
決められた計画に基づいて、アセスメントを行うかどうかを決める、スクリーニングが行われます。ふるい分けですね。
アセスメントを行うことになると、調査内容を決めるスコーピングが行われます。川ごとに個性がありますから、どういった調査をするかをあらかじめ、地域の人たちの意見を聞きながら決めていくのです。新しいアセスメントでは、ダムが周辺の生態系に与えるような影響をトータルに調べることも行っています。
ダム建設においても様々な環境対策が行われています。例えば、それほど高くないダムや堰では、魚道を設置して、魚類の遡上・降下を助け、河川の生態系の保全を図ったり、
ダム貯水池法面を緑化して植生の回復、昆虫の増加のように自然の回復を図ったり、
水鳥や魚たちのためにワンドや丸木杭、営巣崖、湿地を設けてビオトープを復元したり、というような取組みが積極的に進められているのです。
ダムによる堆砂や濁水の発生などマイナス面だけを見るのではなく、私たちの将来を長期的に見て、ダムが必要なところをきちんと見定めて、環境と共存するダムにより、持続可能な生活を目指していくことが重要ではないでしょうか?ダムによる堆砂や濁水については重要な問題なので、別の回にじっくり考えてみたいと思います。

All Rights Reserved, Copyright © 2003 - 2009, Water Management and Dam Division