最終更新日:2008/4/21

水中・土中構造物変状検知センサーの開発

変状検知センサー活用イメージ
変状検知センサーの活用イメージ

はじめに

 護岸や根固め工といった河川構造物は通常水中あるいは土中の没しているため目視による点検ではその変状を発見することは困難です。そこで、本研究では導線等の敷設も電波法上の届け出も不要な微弱電波を用いた通信技術を用いた変状検知センサーを開発しいます。水中や土中では電波の減衰が激しく遠距離通信は不可能ですが、ここでは微弱電波によるアドホック通信技術という原理を用いて、微弱電波による変状信号の通信を可能にしております。現在、当研究室の涸沼川洪水観測施設に簡易護岸を建造し、洪水流による護岸ブロックの流出を検知するモニタリング試験を行っております。

センサーの原理
センサーの原理

微弱電波によるアドホック通信の原理

 電波の減衰の激しい水中あるいは土中においては、微弱電波による遠距離通信は困難ですので、本原理では微弱電波の通信圏内に中継局を設けることにより変状信号を地上基地局まで伝達するようにしています(センサー原理(A))。本原理では、センサーが通信圏外に移動するか損傷を受けて通信不能になった場合、流出または変状が発生したと判断しています(センサー原理(B))。通信経路上の中継局が流出してしまっても、自動的に通信圏内にある別の中継局を選択して通信経路を確保するリダンダンシーの高い通信を可能としています(センサーの原理(C))。

微弱電波の伝播特性試験
伝播特性試験

微弱電波の水中等での伝播特性

 本センサーの変状信号の媒体として微弱電波を使い、電源としては内蔵電池を使うので、電池寿命を伸ばすためなるべく伝播効率のよい周波数の電波を選択する必要があります。そのため、室内及び実験水路にて周波数80kHz〜20MHzの周波数を9種類選択して比較試験を行いました。結論としては、10MHzの周波数を選定することにしたのですが、10MHzが飛び抜けて伝播特性が優れているというわけではありませんでした。これについては後ほど述べたいと思います。

アドホック通信機能の水路試験
アドホック通信機能の水路試験

アドホック通信の水路試験

 当所の大型実験水路でセンサーの流出試験を行いました。センサーを15個作成し、水中に1メートル間隔の3×5列の格子に並べて、手動によりセンサーを引きはがしアドホック通信機能の作動確認を行う試験するものです。一部のセンサーが検知できなかった場合もありましたし、検索時間に30秒から3分程度かかりました。きちんと流出した(流出しなかった)センサーを検知できなかったのは、観測台車からのノイズ等が影響しているようですが、まだまだ改良の余地がありそうです。

アドホック通信機能の現地試験
アドホック通信機能の現地試験

センサーシステムの現地モニタリング試験

 当研究室の涸沼洪水観測施設に変状検知センサーを30個設置して、現地モニタリング試験を行っております。昨年は洪水を逃してしまったので、年度末に手動によりセンサーを引きはがして、アドホック通信機能を動作を確認する試験を行いました。一応、試験した9パターンについては、すべてのセンサーを検出することができましたが、検出するのに時間がかかりすぎる傾向にあります。改良して、今年の出水期には洪水によるセンサーの流出が検出できるようにしたいと思っております。なお、現在も涸沼川にてモニタリング試験をしておりまして、センサーの状況は下記サイトにて確認できるようになっております。