最終更新日:2009/2/3

水・物質循環解析ソフトウェア共通プラットフォームの開発

CommonMPの完成イメージ
CommonMPの完成イメージ

はじめに

 これまで、わが国では多くの水理・水文解析ソフトウェアが開発されてきましたが、これらのソフトウェアは開発者ごとに個別に開発され、データの入出力フォーマットが異なり、データを再利用することや互いに連携して計算することは事実上不可能でした。また、操作性やデータベースとの連携性においても十分な進化を遂げておらず、解析の透明性についても課題を残しています。これらの問題を解決するために、国総研河川研究部では平成19年度より複数の水理・水文解析プログラムを連携して稼働させることできるソフトウェアの共通基盤「水・物質循環解析共通プラットフォーム(CommonMP:Common Modeling Platform for water-related software)」を開発しています。

「共通プラットフォーム」の機能
「共通プラットフォーム」の機能

共通プラットフォームの特長(1)

 「共通プラットフォーム」の大きな特長の1つは、モジュール化された流域の素過程を再現できる要素モデルを自由に交換できる点にあります。ユーザの立場からは、さまざまなモデルを比較しながら自由に組み合わせて使うというメリットがあると同時に、水理・水文モデルの開発者・研究者にとっては、「共通プラットフォーム」の仕様に従えば、「共通プラットフォーム」の提供するさまざま機能(他の要素モデルへのデータの受け渡し、境界条件の取得、計算結果の表示等)を教授することができ、計算アルゴリズムの実装のみに専念できるとうメリットがあります。「共通プラットフォーム」はこれらの便利な機能を提供することにより、水理・水文モデル開発や利用の活性化を図ることを目指しています。

「共通プラットフォーム」のUI(イメージ)
「共通プラットフォーム」のUI(イメージ)

共通プラットフォームの特長(2)

 「共通プラットフォーム」のもう一つの特長は、優れたユーザ・インターフェース(UI)を備えるという点です。「共通プラットフォーム」は、マウスの操作による要素モデルの入れ換えや流域モデルの構築、河道断面の修正等の操作ができると同時に、解析結果のグラフィカルな表示が可能となります。また、再現計算を行う上でもっとも労力を要する河道断面や地形等の境界条件の入力をデータベースよりデータを取得することにより省力化する機能も提供する予定です。「共通プラットフォーム」、このようにユーザ・フレンドリーな操作環境を提供することで、河川技術者が自ら河道計画の検討や水理・水文データの管理を行うようにし、河川技術者の技術力向上や水理・水文データの質の向上を図ることを目指しています。

「共通プラットフォーム」のウェブサイト
「共通プラットフォーム」のウェブサイト

共通プラットフォームの特長(3)

 「共通プラットフォーム」のさらなる特長は、開発プロジェクトの運営方法にあります。「共通プラットフォーム」の開発・運営は国総研のみで行うのではなく、学会やコンサルタント、ユーザ等とともに行う仕組みを構築するというものです。すでに、平成19年9月より「共通プラットフォーム」の開発状況に関する情報提供を行うウェブサイトを開設しており、プロジェクトの運営管理や要素モデルの開発に関するコミュニティーの創設等をウェブサイト上で行うようこととしております。このようにウェブサイトを用いて、ユーザ等を開発に巻き込むことにより、「共通プラットフォーム」上での解析の透明性を確保したり、プロジェクト自体を活性化かせることを目指しています。

アドホック通信機能の現地試験
CommonMPの開発スケジュール

今後の予定

 水・物質循環解析ソフトウェア共通プラットフォーム開発プロジェクトは、平成19年4月に始まり、開発期間3年程度でVersion1.0をリリースすることとしております。平成19年9月と平成20年9月にはそれぞれ広島大学と東北大学で土木学会研究討論会を実施しております。また、平成20年3月には、土木学会講堂(四谷)にてシンポジウムを開催し、共通プラットフォームと要素モデルの機能要求仕様を公表しました。平成20年度中には、「共通プラットフォーム」のプロトタイプをリリースする予定です。プロジェクトの詳しい進捗状況については、「共通プラットフォーム」のウェブサイトをご覧ください。