研究概要

 下水処理研究室では、下水道施設に関する技術基準のマネジメントを中心に、資源利用、水環境再生に関する調査を通し、下水道事業に係る政策支援、技術基準の策定、地方自治体等への技術支援を行っています。
 また、当研究室は水処理技術委員会の事務局となっております。

ここでは、当研究室で現在実施している調査・研究を紹介いたします。
※過去に実施した調査・研究は、研究概要(終了課題)をご覧下さい。

下水道革新的技術実証研究(B-DASHプロジェクト)(平成23年度〜)

 下水道の持つエネルギー・資源を活かした循環型・低炭素社会構築のため、大幅なエネルギー等の創出とコストの縮減を可能とする革新的技術について、実規模レベルで実証し、普及を図ることを目的に実施しています。

 具体的には、国交省にて有識者の審議を経て実証事業を採択し、国総研からの委託研究として、民間企業が必要に応じて地方公共団体や大学等と連携しながら実証研究を行います。その成果を踏まえ、国総研において革新的技術の一般化を図り、技術ごとに順次ガイドラインを策定していきます。

 これにより、民間企業のノウハウ等を活用しつつ、戦略的な全国への普及展開を促進するとともに、日本企業による水ビジネスの海外展開を支援していきます。

B-DASH概要図

 平成23年度には、(1)水処理(高度処理を除く)、(2)バイオガス回収、(3)バイオガス精製、(4)バイオガス発電に係る革新的技術を含むシステムとして、2件の実証研究を実施しました。実証研究の成果を踏まえて、平成25年7月に技術導入ガイドライン(案)を策定・公表いたしました。
平成23年度採択技術の導入ガイドライン(案)

 平成24年度には、(5)下水汚泥固形燃料化技術、(6)未処理下水熱利用技術、(7)窒素除去技術(水処理除く)、(8)リン除去回収技術(水処理技術)として、5件の実証研究を実施しました。(5)下水汚泥固形燃料化技のうち1件を除く技術については、平成26年8月に技術導入ガイドライン(案)を策定・公表し、残る1件については平成27年10月に策定・公表いたしました。
平成24年度採択技術の導入ガイドライン(案)

 平成25年度には、(9)バイオマス発電システム技術、(10)管きょマネジメント技術として5件の実証研究を実施しました。(9)バイオマス発電システム技術については、平成27年9月に技術導入ガイドライン(案)を策定・公表いたしました。(10)管きょマネジメント技術については、平成27年12月に技術導入ガイドライン(案)を策定・公表いたしました(詳細は、下水道研究室のページをご覧下さい。)。
平成25年度採択技術の導入ガイドライン(案)

 平成26年度には、(11)消化ガスからの水素創出技術、(12)省エネ型水処理技術、(13)ICTを活用した戦略的維持管理技術として、6件の実証研究を実施しました。(11)消化ガスからの水素創出技術については平成28年10月、(13)ICTを活用した戦略的維持管理技術の3件については平成28年12月、(12)省エネ型水処理技術の2件については平成29年1月、2月にそれぞれ技術導入ガイドライン(案)を策定・公表いたしました((13)ICTを活用した戦略的維持管理技術のうち、「既存施設を活用したICTによる都市浸水対策機能向上技術」の詳細は、下水道研究室のページをご覧下さい。)。
平成26年度採択技術の導入ガイドライン(案)

 平成27年度には、(14)複数の下水処理場からバイオガスを効率的に集約・活用する技術、(15)バイオガスからCO2を分離・回収・活用する技術、(16)設備劣化診断技術、(17)都市域における局所的集中豪雨に対する降雨及び浸水予測技術、(18)下水管路に起因する道路陥没の兆候を検知可能な技術、(19)下水処理水の再生水利用技術として、9件の実証研究を開始しています。平成28年度も引き続き実証研究を実施し、技術導入ガイドライン(案)の策定を目指します。

 平成28年度には、(20)中小規模処理場を対象とした下水汚泥の有効利用技術、(21)ダウンサイジング可能な水処理技術として、4件の実証研究を開始します。
 また、下水道革新的技術実証事業の前段階として、導入効果などを含めた普及可能性の検討や技術性能の確認等を行う、『B-DASH予備調査』を実施します。平成28年度は、(22)下水熱を利用した車道融雪技術、(23)災害時に適した処理・消毒技術、(24)消化工程なしで下水道資源から水素を製造する技術、(25)下水管きょの腐食点検・調査技術、(26)中小規模処理場を対象とした下水汚泥の有効利用技術として、11件の予備調査を開始します。

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地域における資源・エネルギー循環拠点としての下水処理場の技術的ポテンシャルに関する研究(平成23〜25年度)

 下水道資源・エネルギーの利用可能性及び循環利用技術を評価し、下水処理場を核とした地域における資源・エネルギー循環の実現に向けたシナリオを検討して循環利用技術の導入を推進するための研究を行い、その成果として平成26年9月に「下水汚泥の資源・エネルギー化技術に関する概略検討の手引き(案)」および検討補助ツールを策定・公表いたしました。

地域ポテンシャルに関する研究
下水汚泥の資源・エネルギー化技術に関する概略検討の手引き(案)

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生物処理過程における一酸化二窒素発生抑制手法に関する検討(平成23年度〜)

 近年、下水道使用に伴う温室効果ガス排出削減対策の必要性が増しています。下水道の使用に伴い排出される温室効果ガスのうち、下水処理過程において発生する一酸化二窒素(N2O)は全体の8.7%(CO2換算)と言われています。この数字は決して無視できる値ではないのですが、未だ明確な対応策は講じられていないのが現状です。

 下水処理研究室では、@様々な下水処理施設から発生するN2Oを定量的に把握すること、A下水処理過程におけるN2O発生量に影響を与える要因を解明し、温室効果ガス抑制型の運転方式を提案することを最終目標に研究を行っています。

 当研究室が様々な下水処理施設において行ったN2O発生量調査結果および他機関の既往調査結果に基づき、「日本国温室効果ガスインベントリ報告書(2013年4月)」において、下水処理に伴うN2O排出係数が改訂されました。

下水処理場におけるN2O発生割合

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流域における水環境マネジメント技術に関する検討(平成24年度〜)

 東京湾などの閉鎖性水域において汚濁負荷削減対策を継続的に推進する必要がある一方、下水処理能力の向上には多大なエネルギーが必要となることから、省エネルギー化や資源有効利用の推進にむけて下水道整備・管理の最適化方策が求められています。

 当研究室では、下水処理方式や処理規模毎のエネルギー消費量を把握し、省エネルギー技術や資源(リン)回収技術についての情報整理し、流域内の下水処理場におけるエネルギー消費量・汚濁負荷削減効果の最適化方策(流域内で総エネルギー消費量を削減しつつ、汚濁負荷削減効果を得る方策)について検討をおこなっています。

 本研究の成果は、各都道府県の下水道整備の基本となっている「流域別下水道総合整備計画」の策定・改訂時に、省エネルギー化や資源回収の推進において活用されることが期待されます。

流域内の下水処理場におけるエネルギー消費量・汚濁負荷削減効果の最適化方策

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下水処理施設における新たな衛生学的指標導入に関する検討(平成23年度〜)

 現在、環境基準として採用されている「大腸菌群」には、自然由来の微生物も含まれることから衛生学的指標としての妥当性が低く、的確に糞便性汚染を表す「大腸菌」を環境基準として導入するための議論が進められています。そのため、下水道においても排水基準の衛生学的指標を見直しを検討する必要があります。

 全国の実下水処理場を対象に、下水や処理水中の大腸菌の実態、処理水の消毒効果、季節・日間変動等の把握を行い、大腸菌を指標とした場合の基準値について検討を進めています。また、同一サンプルを複数の測定法・測定機関で分析を行い、結果の相違を検証することにより標準法としての妥当性の検討も行っています。

 本研究の成果は、今後、新たな排水基準の指標及びその基準値設定に反映され、新指標の公定分析法(国土交通省令)制定の参考となることが期待されます。

大腸菌群と大腸菌の違い

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アフリカ・サヘル地域の持続可能な水・衛生システムの開発(平成21年度〜)

 地球規模気候変動の影響を強く受け、かつ貧困指数が最も高いサブサハラ・アフリカ地域では、安全な水供給施設や衛生設備へのアクセスが十分ではないことから、水系伝染病が蔓延しています。

 当プロジェクトは、国内研究機関およびブルキナファソの国際水環境学院(2iE)で、西アフリカの内陸国であるブルキナファソを対象として安全な水の供給と排水や屎尿の処理及び再利用に関する新しいシステムの開発と実証を行う共同研究です。

 共同研究を通した人材の育成と西アフリカ地域における共同研究拠点の形成を行い、最終的には,水の安全保障を確保するシステムの開発と人材育成によりミレニアム開発目標達成に資することを目的としています。

 国総研下水道研究部は、新しいシステムを導入するための、財政的・制度的要因の研究を担当しています。

ブルキナファソの位置 建設中のトイレと子供

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持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム(平成22年度〜)

 20世紀型の水利用システムは,自然の水循環を改変して都市と工業および農業に水を供給・利用し排水を浄化して自然の循環系に戻す一過性のシステムであり,その建設,運用および改廃の各段階で多くの資源・エネルギーを消費し大量の温室効果ガスを排出しています。そのため、21世紀型の新たな水利用システムでは、資源・エネルギーの大量消費から脱却し,制約された条件の下で需要に応じた供給を実現し,持続可能な低炭素社会実現に寄与することが求められています。

 この新たな水利用システムとは、水需要の高い都市域に位置する下水処理場やサテライト処理施設を新たな水源と考え、再生水をトイレ洗浄水や散水用水、農業用水などの非飲用用途に再利用することによって、水輸送に係るエネルギーを削減し、流域全体の水利用に係るエネルギー消費の削減と環境効果を図るものです。

 国総研では、現行の水利用システムに、一部人為的な循環系と重層的な水利用を組み入れた新たな循環型水利用システムの導入による水利用システム全体としてのエネルギー削減効果の評価を担当しています。

 本研究は、独立行政法人科学技術振興機構のCREST(戦略的創造研究推進事業)の領域研究「持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム」において課題名「21世紀型都市水循環系の構築のための水再生技術の開発と評価」の下で実施している京都大学との共同研究です。

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