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国土交通省 国土技術政策総合研究所 環境研究部 緑化生態研究室

所外発表 2010年度

緑化材料として春と夏に採取した森林表土の撒き出し試験事例

発行年:2010
著者名:久保満佐子・細木大輔・松江正彦

春と夏に森林の表土の採取・撒き出しを行い,発芽する実生の個体数と種数の変化を調べた.その結果,春に撒き出しを開始した場合は,種数・個体数ともに撒き出しから5ヶ月ほどで1年間に出現する実生の8割を把握できた.一方,夏に撒き出した場合は発芽が2回にわたり,8割以上の実生を把握するのに8ヶ月以上を必要とすることが明らかになった.

日本緑化工学会誌,Vol.35,No.4,pp532-536

                            

国営備北丘陵公園における森林表土利用工によるのり面緑化の施工事例

発行年:2010
著者名:久保満佐子・細木大輔・松江正彦

国営備北丘陵公園の切り土法面で森林表土を撒き出す緑化施工を行い,利用した表土の埋土種子と法面植生を調べた.その結果,表土には木本の種子が多く含まれていたが,施工当年の法面でそれらの木本は確認されなかった.施工当年から3年目まで草本が優占するが,3年目から木本の個体数が多くなることが確認された.

日本緑化工学会誌,Vol.35,No.4,pp542-546


景観重要樹木の保全対策

発行年:2010
著者名:飯塚康雄

市,農山漁村等における良好な景観の形成を促進するために制定された景観法において指定することが可能となった「景観重要樹木」(良好な景観の形成に重要な樹木)の維持管理で必要となる,樹木の診断方法とその結果から立案する保全対策方法,さらに保全対策後の維持管理方法についてとりまとめ,手引きを作成した.

土木技術資料,Vol.52,No.7,pp6-9


景観・緑化・のり面保護対策

発行年:2010
著者名:松江正彦

道路土工要綱関連の指針の改訂のうち,緑化生態研究室が担当した「切り土工・斜面安定工指針」の第4章「環境・景観対策」と第8章「のり面保護工」の緑化に関する改訂内容について,その主要部分を紹介した.

基礎工,Vol.38,No.7,pp31-34


栃木県北部におけるホンドタヌキの生息適地予測とダム建設の影響評価

発行年:2010
著者名:田頭直樹・佐伯緑・園田陽一・千田庸哉・松江正彦

栃木県湯西川ダム建設予定地において,普通種のたぬきを対象に生息適地モデルの開発とダム事業による生息地変化を予測した.その結果,生息適地の面積の減少に加え,生息適地の断片化が大きいことが明らかとなった.本研究の成果から,ダムによる環境影響評価は,湛水域と,植生や地形とそれらの連続性についても言及する必要があることが示唆された.

応用生態工学会誌,Vol.13,No.1,pp49-60


道路環境影響評価における糞抽出DNAによる個体識別法の適用可能性

発行年:2010
著者名:園田陽一・久保満佐子・松江正彦

野生哺乳類の糞抽出DNAによる個体識別法を道路事業の事後調査に適用した.一般国道289号線甲子道路においてノウサギの糞抽出DNAから個体識別を行い,道路両側間の移動を追跡した.また,道路横断施設の利用を確認した結果,すべての施設においてノウサギの利用が確認された.ノウサギは餌場として,キイチゴ類を利用するため,林縁間を移動することが推測される.

環境アセスメント学会2010年度研究発表会要旨集,pp155


森林表土を利用した緑化技術の開発

発行年:2010
著者名:久保満佐子・園田陽一・武田ゆうこ・松江正彦

森林表土の緑化資材としての可能性を埋土種子の発芽実験により調べ,緑化施工後ののり面では成立する植生を明らかにし,森林表土利用工を紹介した.

土木技術資料,Vol.52,No.10,pp10-13


野生動物の道路横断施設の現状とその効果

発行年:2010
著者名:園田陽一・松江正彦

野生動物を対象とした道路横断施設の現状について整理し,北海道豊富バイパス,山梨県東富士五湖道路,島根県江津道路の3路線において道路横断施設の赤外線センサーカメラにより野生動物の利用状況をモニタリングを行い、道路横断施設の形状と利用する種の関連性を明らかにした.

土木技術資料,Vol.52,No.10,pp6-9


景観重要公共施設制度の効果的な活用方策に関する研究

発行年:2010
著者名:阿部貴弘・上島顕司

景観法の制定により創設された景観重要公共施設制度は,総合的な景観形成に資する新たな制度として,その活用が期待された.しかし現状では,必ずしも制度が十分に活用されているとは言い難い状況にある.そこで,本論では,まず,全国の地方公共団体及び景観計画策定団体を対象としたアンケート調査や景観計画の記載内容の分析に基づき,景観重要公共施設制度の活用実態を把握するとともに,制度を活用するうえでの課題を把握・整理した.そのうえで,先進的に景観重要公共施設制度を活用している神奈川県内の景観行政団体及び公共施設管理者等を対象としたヒアリング調査に基づき,景観重要公共施設制度の活用方策について分析した.さらに,先進事例の分析に基づき,総合的な景観形成に資する景観重要公共施設制度の効果的な活用に向けた留意事項について考察した.

第6回景観・デザイン研究発表会講演集,No.6,pp245-256


土木構造物に係わる技術基準等における景観の位置付けに関する研究

発行年:2010
著者名:犬飼武・高阪雄一・阿部貴弘

土木構造物の設置や設計に当たっては,法的な拘束力有する技術基準等によって構造物の最低限の安全性等を確保する必要があるが,こうした技術基準等において,景観への配慮がどのように位置付けられているのか,分野横断的にその考え方や具体的内容の把握を行った.その結果,景観に関する直接的な規定は,港湾を除いて規定されていないこと,いずれの分野の技術基準等においても,法的拘束力を有する基準には安全性等の必要最小限の基準が定められており,裁量性を備えているものであること,また,各分野の技術基準等の性能規定化の流れや,地域主権の流れから,より一層,裁量性の高い基準へと改正されつつあること等が分かった.

第6回景観・デザイン研究発表会講演集,No.6,pp263-268


野生動物に対する道路横断施設のモニタリングによる効果検証

発行年:2011
著者名:園田陽一・松江正彦

わが国において,道路横断施設の構造や設置場所,設置数などを明らかにするような研究事例は見られない.そこで,道路横断施設についてのモニタリングを実施し,野生哺乳類の道路横断施設の利用状況と道路横断施設の構造,周辺の景観要素との関連性について明らかにするとともに,道路横断施設の設置基準について示した.

第10回野生生物と交通研究発表会講演要旨集,No.10,pp109-114


野生動物におけるロードキル,バリアー効果とミティゲーション技術に関する研究の現状と課題

発行年:2011
著者名:園田陽一・松江正彦

 本研究では,ロードキルおよびバリアー効果に関する研究の現状についてレビューを行うとともに,道路横断施設の設置事例調査を行い,海外の事例と比較することにより,今後の日本における道路生態学研究の発展とミティゲーション技術の開発の将来性を明らかにした.今後,ロードキルの発生要因やバリアー効果,道路横断施設の効果・検証について多様な種・分類群について調査を行うことや,森林性哺乳類や両生爬虫類を対象としたミティゲーション技術の開発,道路横断施設を利用する野生動物の定量的なモニタリング技術を開発する必要があると考えられた.

ランドスケープ研究オンライン論文集,No.4,pp7-16


地域の景観を支える樹木 −景観重要樹木の保全−

発行年:2011
著者名:飯塚康雄

文化財保護法により指定されている特別史跡名勝天然記念物または史跡名勝天然記念物などの学術的,文化的,資源的価値に該当しない樹木において,景観法(平成16年制定)に基づく指定により保全の実効と景観維持のための法的強制力をもたせることが可能となった「景観重要樹木」について,その概要や保全対策を解説した.

TREE DOCTOR,No.18,pp43-47


オオキンケイギク優占群落の選択的抜き取り管理の時期による礫河原植生復元効果の違い

発行年:2011
著者名:畠瀬頼子・小栗ひとみ・松江正彦

選択的抜き取り管理の時期による礫河原植生復元効果の違いを検証するため実験的管理を実施した.抜き取り時期は6月および6月・10月,継続期間は1年間,2年間,4年間とした.4年間の抜き取り継続によりオオキンケイギクの生存埋土種子数および実生発生数,開花株数,シュート数は抜き取り時期にかかわらず大幅に減少したため,オオキンケイギク抑制効果は時期では変わらないと考えられた.一方,6月抜き取りでは在来多年生草本の優占度回復傾向が続いたものの,6月・10月抜き取りでは外来一・二年生草本の優占度増加が著しく,在来多年生草本の優占度回復は抑制されたため,植生復元効果は6月のみの抜き取りの方が高いと考えられた.

ランドスケープ研究,Vol.74,No.5,pp473-478


森林表土を利用した緑化のり面の植生とのり面属性の関係

発行年:2011
著者名:久保満佐子・武田ゆうこ・松江正彦

森林表土利用工が施工された全国の緑化のり面で,成立する植生と施工地の環境やのり面属性との関係を調べた.また,本工法の利用の実態が不明であることから,本工法の採用状況を整理した.

日本森林学会大会講演集,No.122,pp681


緑化のり面における植生の研究

発行年:2011
著者名:久保満佐子

国総研が実施している森林表土利用工による緑化のり面の植生に関する研究について,植生学分野への紹介を行ったものである.

植生情報,No.15,pp97-102