公園管理者のための生物被害対処ガイド
都市公園等において健康被害等を与えうる生物の情報と被害の予防・低減について


Home > 各生物編 > イラガ科・ドクガ科等(毒毛虫類)

イラガ科

緊急度:★★

危険度:低

イラガ Monema flavescens

ドクガ科

緊急度:★★

危険度:低

チャドクガ Arna pseudoconspersa
タイワンキドクガ Orvasca taiwana
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プロフィール
  • イラガ(終齢幼虫)
    【特徴】体長約2.5~4cmで幅が太い。全体に黄緑色で、終齢幼虫は背面中央に黒っぽい筋模様がある。肉質の突起から多くの毒棘が生える。
    繭は硬く、白褐色に黒い筋模様があり、枝の又等に作られる。
  • チャドクガ(終齢幼虫)
    【特徴】体長約2.5cm。若齢幼虫は白っぽく、終齢幼虫は黒っぽい。16対ある群生部から計50万本もの微細な毒針毛が生える。
    成虫(蛾)は黄~黄褐色で、年2回発生することがある。
  • タイワンキドクガ(幼虫)
  • 【特徴】体長約2㎝。背中に橙色の線と黒いコブがある。微細な毒針毛が無数に生える。
  • 分  布:イラガ:北海道、本州、四国、九州。
    チャドクガ:本州(岩手県以南)、四国、九州。
    タイワンキドクガ:琉球諸島。
  • たべもの:イラガ:カキ、ナシ、サクラ、ウメ、アンズ、カエデ類、ヤナギ類、クリ、クルミ、ザクロ等の葉。
    チャドクガ:チャ、ツバキ、サザンカ等の葉。
    タイワンキドクガ:バラ、ベゴニア、モモタマナ(クワディーサー)、ギンネム等の葉。
  • す み か:イラガ:平地~山地の広い範囲に生息する。上述の食樹の周辺で見られる。
    チャドクガ:街中~丘陵。上述の食樹が植栽された公園、街路樹等で見られ、庭木の葉の裏に幼虫が集団で発生することもある。成虫は明かりに飛来する。
    タイワンキドクガ:上述の食樹の周辺で見られる。

被害
  • 生活史と被害発生時期:イラガは毒を持つ幼虫が活動している時期に、ドクガ類は通年で被害が発生する可能性がある。
  • 被害:刺傷(有毒)、皮膚炎。
    イラガ:幼虫の毒棘に触れると電撃を受けたような痛みがある。毒棘は体内の毒腺につながっており、刺さると同時に毒液が注入され、発赤、丘疹が生じる。痛みは1時間程度で治まるが、痒みが数日続く。成虫(蛾)や繭には毒棘は無い。
    ドクガ類:卵、幼虫とその脱皮殻、蛹、成虫のすべての段階で毒針毛を持ち、特に幼虫による被害が多い。毒針毛に触れると赤い丘疹が生じて痒みがあり、症状は直後に出る場合と、1~2日後に強い痒みを伴って生じる場合がある。毒針毛は風で飛ぶため、直接の接触だけでなく、近くにいただけで皮膚炎が生じることもある。
  • 事例:都市公園での被害例について特段の記録の整理はないが、刺傷被害が発生している可能性は大いにあると推察される。都市公園以外では、風で運ばれてきたタイワンキドクガの毒針毛が衣類等に付着したことにより皮膚炎を生じたと考えられる例がある。

予防編│幼虫が発生する木には不用意に触らない
  • 〈利用者の対応〉
  • □ 幼虫が発生する樹木には、不用意に素手で触らない。毒毛虫類が発生する樹木の種類を事前に知っておくとよい。
  • □ 夜間の灯火に集まってくる成虫(蛾)にも、不用意に素手で触らない。
  • 〈管理者の対応〉
  • □ 公園内又は周辺において、毒毛虫類の幼虫の食樹となる樹木がどこにあるか確認しておく。
  • □ 特に幼虫の発生時期に、目視で生息状況を確認する。確認や樹木の手入れを行う際は、長そで、長ズボン、手袋等を着用し、肌の露出を避ける。
  • □ 幼虫が確認された際は、必要に応じて周辺の立入禁止措置をとるとともに、幼虫の駆除を行う。ドクガ類では、毒針毛が飛ばないよう風のない日を選ぶとともに、市販の毒針毛固着剤を噴射してから、幼虫が付着した枝葉を剪定して袋等に入れる。
  • □ 駆除は、幼虫が発生する前に卵が産みつけられた葉を除去する方法も効果的である。イラガでは毎年同じ木で幼虫が発生する傾向があるため、事前に樹木を把握できるとよい。

低減編│粘着テープで毒針毛を除去し、痒みがひどければ病院へ
  • 〈刺されたときの対処・応急手当等〉
  • □ 粘着テープを何度も当てる、水で洗い流す等して、毒棘や毒針毛を取り除く。
  • □ 痒みがあっても、かいたりこすったりしない(毒針毛は肉眼では見えず、こすると症状が広がる恐れがある)。
  • □ 目に入ってしまったときは、こすらず流水で洗い流す。
  • □ 抗ヒスタミン成分含有のステロイド軟膏があれば、患部にそっと塗る。
  • □ 痒みや腫れがひどい場合は、医療機関(皮膚科)を受診する。
  • 〈管理者の対応〉
  • □ 被害状況を把握し、予防編に示した駆除対応を行う。
  • □ 幼虫の発生段階が進み樹木全体に付着している場合は、剪定による駆除は難しいため、BT剤(生物農薬の一種で、ガ類に対してのみ効果がある昆虫病原細菌)の使用を検討する。ただし、周囲へ飛散しないよう、必要最低限の使用に留める。

参考資料