公園管理者のための生物被害対処ガイド
都市公園等において健康被害等を与えうる生物の情報と被害の予防・低減について
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ネズミ科
ネズミ科
緊急度:★★★
危険度:中
クマネズミ
Rattus rattus
ドブネズミ
Rattus norvegicus
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プロフィール
クマネズミ
【特徴】
頭胴長15~24cm、尾長15~26cm、体重は150~200g。背面は黒色~灰褐色で腹面はスレート色がかった灰色あるいは白色。鼻先がとがった横顔、大きな目、薄くて大きい耳、長い尾が特徴。
ドブネズミ
【特徴】
頭胴長11~28cm、尾長17.5~22cm、体重は40~500g。背面は黄色がかった灰色で、腹面は灰色か黄色がかった白色。鼻先が円みを帯びた横顔、小さな目、小さく厚い耳が特徴。
耳は小さく、前に倒しても目に達しない。
分 布:
両種とも汎世界的に分布し、国内でも全国的に分布する。国外由来だが移入時期や場所は不明で、先史時代から侵入していたともされる。島しょでは移入分布。
たべもの:
クマネズミ:
雑食性。植物質を好む。
ドブネズミ:
雑食性。動物質を好む。
す み か:
クマネズミ:
ビルや天井裏など比較的乾燥した高所。 高さと幅が10cm程度の空間を好む傾向がある。木登り等の垂直行動や綱渡りが得意で、高層ビルにも出現する。
ドブネズミ:
下水溝、台所の流し、ゴミ捨て場等、比較的湿った場所を好む。
被害
生活史と被害発生時期:一年を通して活動しており、通年で被害が発生する可能性がある。
被害:感染症(※)、咬傷、ネズミにかじられた電気コードがショートすることによる火災。ほかに、ネズミ類に寄生するイエダニによる刺咬、食品汚染、器物損壊等。
※ネズミ類が媒介する感染症として、
ハンタウイルス感染症
、
レプトスピラ症
、
鼠咬症
等がある。 また、
広東住血線虫症
の終宿主でもある。
事例:都市公園での被害例は特に知られていないが、ネズミ類による被害(主に咬傷、衛生被害等)は都市部において広く発生している。
予防編│ネズミには手を触れない
〈利用者の対応〉
□ネズミ類と接触しない(餌を与えたり、触ったりしない)。
□ネズミ類を誘引しないよう、公園内に食物を放置せず、ハト等への餌やりも行わない。
〈管理者の対応〉
□痕跡(ラットサイン:糞や足跡、齧り跡、体のこすり跡等)を確認し、生息状況を把握する。☞
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□食料の密閉、ゴミのすみやかな処理等を行う。建築物内での食品管理にも注意する。
低減編│咬まれたら直ちに受診を
〈被害に対する処置〉
□傷口を水でよく洗い、止血、消毒する。
□感染症の恐れがあるため、医療機関を受診する。診療科は医療機関の指示に従う。
〈管理者の対応〉
□被害状況や注意事項について、ポスター等により利用者へ周知する。
□被害発生場所を把握し、侵入・移動経路を遮断するための環境改善を行う。☞
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□捕獲器や薬剤を用いて駆除を行う。毒餌を設置する場合は、利用者(特に子どもやペット等)が誤食しないよう、毒餌を剥き出しにしない設置方法の工夫や、日中は毒餌を回収する等の誤食防止対策を講じる。
□駆除を行う場合は、定期的な巡視を行い、ネズミ類の死体を除去することが望ましい。
参考資料
☐ 東京都福祉保健局健康安全室環境水道課(2005)『東京都ねずみ防除指針』
東京都におけるネズミ類の問題を背景に、被害の低減を目的に作成された指針。 対策を担当する行政担当者向けに、自治体において対策を企画・事業化する際のガイドラインや、対策に関わる相談・指導の標準的なマニュアルとして活用できるほか、 関心のある市民向けや防除に携わる事業者にも活用できる内容となっている。
☐ 国立研究開発法人国立環境研究所ウェブサイト『侵入生物データベース:クマネズミ』
☐ 国立研究開発法人国立環境研究所ウェブサイト『侵入生物データベース:ドブネズミ』
☐ 国立感染症研究所ウェブサイト『レプトスピラ症とは』
☐ ねずみ駆除協議会(1998)『安心の《医・食・住》環境づくりのための「ネズミ駆除」手引き』
☐ 本川雅治(2016)『日本のねずみ─多様性と進化─』東京大学出版会
情報作成・更新日
2020年5月2日
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