公園管理者のための生物被害対処ガイド
都市公園等において健康被害等を与えうる生物の情報と被害の予防・低減について
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カ科
カ科
緊急度:★★★
危険度:低
ヒトスジシマカ
Aedes albopictus
ネッタイシマカ
A. aegypti
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プロフィール
ヒトスジシマカ
【特徴】
体長約4.5mm。体全体と脚に白黒の縞模様がある。中胸の背面中央に白い1本の縦筋がある。
ネッタイシマカ
【特徴】
体長3~4.5mm。体全体と脚に白黒の縞模様がある。森林生・都市生の2亜種がいる。
分 布:
ヒトスジシマカ:
本州以南。
ネッタイシマカ:
国内未定着。熱帯~亜熱帯地域に分布するが、将来的に分布が拡大する懸念がある。
たべもの:
卵を成熟させるため、雌は哺乳類から吸血する。
す み か:
ヒトスジシマカ:
人家周辺や木陰に普通にみられる。植木鉢の水受、雨水升、排水溝等に産卵する。
ネッタイシマカ:
森林~市街地。森林亜種は森林の樹洞の溜まり水で、都市亜種は水がめ等の人工容器で繁殖。コンクリートジャングルのような無機的な環境にも生息する。
被害
生活史と被害発生時期:成虫が活動する時期に被害が発生する可能性がある。
被害:刺傷、感染症。刺された直後に痒みがあり、腫れや発赤はいったん治まってもぶり返すことがある。アレルギー症状が起き、発熱、局所の発赤、膨張が著しい場合もある。
感染症にかかった人を吸血したカがウイルスを保有し、媒介者となって他の人を吸血することにより、感染症(
デング熱
、
チクングニア熱
、
ジカ熱
、
黄熱
)にかかる恐れがある。いずれも2日~2週間程度の潜伏期間の後、発熱、発疹、関節痛等の症状が起きる。
事例:カに刺される被害は生息域で広く発生しており、都市公園においても散策時等に刺される被害が多数あるとみられる。デング熱については、海外で感染した後に日本で発症する例が毎年200名程度あるが、2014年には、東京都の公園で感染したとみられる例が報告された。 海外(熱帯~亜熱帯地域)では感染症による死亡例がある。
予防編│野外で肌を露出しない
〈利用者の対応〉
□長そで、長ズボン等を着用し、肌の露出を避ける。
□カに刺されないよう、市販の蚊取り線香や虫除けスプレーを使用する。
□カの活動が活発な季節に、樹林や茂みに不用意に近寄ったり入ったりしない。草刈り等の野外作業で林へ入る際は、手袋等も着用する。
〈管理者の対応〉
□公園内又は周辺において、カが好む環境(成虫が好む薄暗い林や茂み、幼虫(ボウフラ)の発生場所となりうる水たまり等)がどこにあるか確認しておく。 ☞
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□上述のような環境は、普段、管理が行き届きにくい可能性があるため、定期的な除草や清掃等を行い、風通しのよい環境づくりを行う。
□除草や清掃作業の際は、長そで、長ズボン等を着用し、肌の露出を避ける。
□利用者がカの感染症に関する適切な知識を持つことができるよう、ポスター等により周知を図る。
低減編│感染症が疑われる場合はすぐに病院へ
〈刺されたときの対処〉
□患部を清潔にする。
□通常、特別な手当は不要だが、赤みや発疹が出るようであれば、抗ヒスタミン成分含有のステロイド外用薬を塗る。
□刺された場所に水疱や血疱ができる等した場合は、医療機関を受診する。
□潜伏期間を経て感染症が疑われる症状がみられた場合は、すみやかに医療機関を受診する。
〈管理者の対応〉
□カによる感染症が発生した場合は、予防編に示した環境整備に加えて、必要に応じて、薬剤散布等により局所的なカの駆除を行う。
参考資料
☐ 厚生労働省ウェブサイト『蚊媒介感染症』
☐ 厚生労働省ウェブサイト『デング熱・チクングニア熱等蚊媒介感染症の対応・対策の手引き 地方公共団体向けについて』
☐ 東京都福祉保健局ウェブサイト『蚊の発生防止対策パンフレット等』
☐ 国立感染症研究所ウェブサイト『デング熱媒介蚊の生態(東南アジアを例として)』
☐ 国立研究開発法人国立環境研究所ウェブサイト『侵入生物データベース:ネッタイシマカ』
☐ 村上興正、鷲谷いづみ 監修(2002)『外来種ハンドブック』地人書館
☐ 篠永哲、野口玉雄、今泉忠明、小川賢一(2013)『フィールドベスト図鑑17 危険・有毒生物』学研
☐ NPO法人武蔵野自然塾 編(2017)『危険生物ファーストエイドハンドブック 陸編』文一総合出版
情報作成・更新日
2019年6月11日
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