公園管理者のための生物被害対処ガイド
都市公園等において健康被害等を与えうる生物の情報と被害の予防・低減について

感染症に関する参考情報  各生物の解説で触れている主な感染症について、簡単に情報整理をしています。
 なお、各感染症の詳細については、別途、専門的な情報を掲載している書籍やウェブサイト等をご確認ください。

パスツレラ症
  • 関与する生物:イノシシイヌ(他にネコ等)
  • 感染経路  :経皮感染(引っ掻かれたり、噛まれたりした際の傷からの感染)や経口感染。
  • 症状    :30分~2日で主に皮膚症状(傷口が腫れて化膿する)があらわれる。呼吸器系の疾患、骨髄炎、外耳炎等の局所感染、敗血症、髄膜炎等の重篤な症状に至ることもある。
  • 被害例   :死亡例も報告されている。

Q熱
  • 関与する生物:クマ(他にウシ、ヒツジ、ネコ等)
  • 感染経路  :病原体(リケッチア細菌の一種)が動物の尿、糞、乳汁などに排泄され、環境中の粉塵として飛び散り、吸い込んで感染する。
  • 症状    :発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、呼吸器症状等。

アライグマ回虫の幼虫移行症
  • 関与する生物:アライグマ
  • 感染経路  :アライグマ回虫の虫卵を経口感染すると引き起こされる。
  • 症状    :中枢神経障害(発育障害、神経系後遺症)、網膜炎等。
  • 被害例   :海外では死亡例がある。

狂犬病
  • 関与する生物:イヌアライグマ(他にコウモリ、キツネ、野良ネコ等)
    ※今後発生を注意すべき生物としてハクビシン
  • 感染経路  :狂犬病ウイルス(リッサウイルス)を保有する個体による咬傷、創傷により感染する。
  • 症状    :発熱、食欲不振等に始まり、麻痺、幻覚、精神錯乱等の神経症状が生じ、呼吸障害により死に至る。発症後の有効な治療法はない。
  • 被害例   :国内では1950年以前は死亡例があったが、狂犬病予防が進み、昭和31年を最後に発生していない。海外では発生している。
    イヌのページでも狂犬病について簡単に紹介しています。

ハンタウイルス感染症
  • 関与する生物:ネズミ
  • 感染経路  :ネズミ類等の糞尿、唾液に汚染された埃などの吸引。ネズミ類等による咬傷。
  • 症状    :ネズミ類等の糞尿中に排泄される病原体(ハンタウイルス)により、発熱、結膜、皮膚からの激しい出血、蛋白尿等の症状が引き起こされる。
  • 被害例   :1960年代に大阪市内でドブネズミを感染源とする都市型流行が発生。 1970-80年代には実験用ラットを感染源とする実験室型流行が発生。 1984年以降、患者発生の報告はない。 現在でも国内の主要な港湾地区のほとんどでハンタウイルスを保菌するドブネズミの生息が確認されている。

レプトスピラ症
  • 関与する生物:ハクビシンネズミ
  • 感染経路  :ネズミ類等の尿や血液への直接接触、糞尿等の多い環境での暴露(河川でのレジャーや労働、農作業等)。
  • 症状    :病原性レプトスピラによる急性熱性疾患で、風邪に似た軽症型から腎障害などを伴う重症型(ワイル病)まで、さまざまな症状が引き起こされる。
  • 被害例   :1970年代前半までは年間50名以上の死亡例が報告されていたが、近年では衛生環境の向上などにより患者数(死亡者数)は著しく減少している。 現在でも散発的な発生は各地で確認され、2007年1月~2016年4月末までに、30都府県から284例の届出があった。

鼠咬(そこう)症
  • 関与する生物:ネズミ
  • 感染経路  :ネズミ類等による咬傷、糞尿等により汚染された食品の経口摂取。
  • 症状    :原因菌(鼠咬症スピリルム、ストレプトバチルス)により、寒気、発熱、リンパ節の腫脹や皮疹、手足への出血斑や水疱等の症状が引き起こされる。
  • 被害例   :1987年東京都、2014年に沖縄県で報告があるが、近年は国内での報告はほとんどない。理由として、衛生環境の改善や内服抗菌薬の薬効向上が挙げられる。

エキノコックス病
  • 関与する生物:(キタキツネ) 
    ※今後発生を注意すべき生物としてハクビシン
  • 感染経路  :排泄された虫卵に汚染された水、食物、埃などを経口摂取することにより感染する。
  • 症状    :長い潜伏期間の後、肝臓の腫大、腹痛、黄疸、貧血等の症状があらわれ、放置すると約半年で腹水が貯留し、やがて死に至る。

マダニ媒介性脳炎
  • 関与する生物:マダニ
  • 感染経路  :ウイルスを保有するマダニに刺咬されることで感染する。
    ※マダニが付着する哺乳類(ハリネズミ等)を介して接触することもある。
  • 症状    :7・4日程度の潜伏期間の後、発熱、筋肉痛、麻痺、意識障害、けいれん、髄膜炎、脳炎等があらわれる。
  • 被害例   :国内で近年発生例がある。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
  • 関与する生物:マダニ
  • 感染経路  :SFTSウイルスを保有するマダニ(フタトゲチマダニなど)に刺咬されることで感染する。
    ※マダニが付着する哺乳類(ハクビシンハリネズミ等)を介して接触することもある。
  • 症状    :6・4日の潜伏期間の後、発熱、消化器症状、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状等があらわれる。致死率は10~30%。ケ
  • 被害例   :国内で過去に死亡例がある。

デング熱
  • 関与する生物:
  • 感染経路  :感染症にかかった人を吸血したカがウイルスを保有し、他の人へ媒介
  • 症状    :2日~2週間程度の潜伏期間の後の頭痛、発熱、発疹、関節痛、筋肉痛等
  • 被害例   :海外で感染した後に日本で発症する例が毎年200名程度あるが、2014年には、東京都の公園で感染したとみられる例が報告された。

チクングニア熱
  • 関与する生物:
  • 感染経路  :感染症にかかった人を吸血したカがウイルスを保有し、他の人へ媒介
  • 症状    :2日~2週間程度の潜伏期間の後の発熱、関節痛、発疹等

ジカ熱
  • 関与する生物:
  • 感染経路  :感染症にかかった人を吸血したカがウイルスを保有し、他の人へ媒介
  • 症状    :2日~2週間程度の潜伏期間の後の発熱、発疹、結膜炎、関節痛等

黄熱
  • 関与する生物:
  • 感染経路  :感染症にかかった人を吸血したカがウイルスを保有し、他の人へ媒介
  • 症状    :2日~2週間程度の潜伏期間の後の発熱、発疹、関節痛

広東住血線虫症
  • 関与する生物:中間宿主としてアフリカマイマイ(他にスクミリンゴガイ、ナメクジ、アズマヒキガエル等)、 終宿主としてネズミ
  • 感染経路  :感染幼虫の経口摂取。
    《詳細》成虫(体長22~23mmの線虫)がネズミの肺動脈内に寄生する。
    → 肺動脈内に産み落とされた虫卵は、肺の毛細血管内で孵化し幼虫になり、肺胞から気管、食道、胃、腸を経て糞として排出される。
    → 幼虫が中間宿主に摂取されると、中間宿主の体内で発育し感染性の幼虫になる。
    → 感染性の幼虫を宿した中間宿主をネズミが摂食し、肺動脈内で成虫になる。
    → 感染性の幼虫を宿した中間宿主を人が摂食すると、発症する(幼虫自身は成虫になることなく死滅)。
  • 症状    :髄膜脳炎の症状を生じる。感染後数日以内に初期症状(嘔吐、腹痛、下痢)が、その後、頭痛、発熱等の強度の中枢神経系の症状がみられるほか、痙攣、感覚障害等が生じ、重症の場合は昏睡状態に陥り死亡することがある。
  • 被害例   :国内で数十例の被害例があり、死亡例もある。

参考資料