研究成果資料


国総研資料 第 796 号

【資 料 名】 宮古湾における底泥およびアマモのモニタリング結果(2013年10月)

【概   要】  東北地方太平洋沖地震に伴って発生した津波によって, 甚大な影響を受けた宮古湾のアマモ場の復元を目指し,著者らはアマモおよび底泥の復元過程の調査を継続実施している.2012 年2月に実施した第1回調査によって,宮古湾湾奥はアマモ復元の視点で底質条件により,3つの水域(Z1,Z2,Z3)に分けられた.Z1:現状でもアマモ生育に適した水域,Z2:現状ではシルト成分が適性よりも多い底泥の水域,およびZ3:粗砂・礫成分が適性よりも多い底泥の中に,中砂成分を適度に含んだ底泥が点在している水域.2012年10月に実施した第2回調査によって,各ゾーンの底泥の詳細な空間分布データを取得した.また,アマモが密生しているアマモ場が,Z1 に残存していることが確認された.今回の第3回調査では,その後の底泥およびアマモ場の変化について調査した.また,今後の底泥およびアマモの回復の可能性について検討した.
 調査は2013年10月に実施した.第2回調査とほぼ同じ110 地点で採泥を行った.各底泥に対して粒度分布を分析した.また,同じ地点でアマモの分布調査を実施した.さらに,第2回調査の底泥の化学組成を分析し,底泥の由来を推測した.
 底泥は第2回調査と比較して,ほとんど変化がなかった.アマモ場は,Z1では順調に生育範囲を拡大していた.一方,Z3では,アマモ場はそれら砂地に点在して生育しており,面的な広がりはZ1と較べて弱かった.化学組成の結果から,そのZ3の砂の由来は,津軽石川ではないことが推測された.これらのことから,Z3のアマモ場の回復は,Z1よりもゆっくりとしたペース,または一面にアマモ場という生育形態とは異なり,点在する砂地にアマモ場が点在する生育形態になると考えられる.

【担当研究室】 海洋環境研究室

【執 筆 者】 岡田 知也,井芹 絵里奈



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