【概 要】 | 国際交通インフラの将来像やそのあり方に関する議論を行ったり,またその一環として国際貿易額や貨物流動量といった貨物需要の将来予測を行う際には,これらの前提条件となる社会経済やインフラの状況に関する諸変数に関する将来予測値が必要となる.その簡便な予測方法としては,過去のトレンドに基づき,そのトレンドをそのまま外挿するか,あるいは計量経済学的な手法を適用することなどが考えられる.しかしながら,これら諸変数の将来予測値は,経済政策を含む多数の要因が複雑に影響することもあり,非常に大きな不確実性を有していると考えられ,特に,長期的な予測を行う際や,大きな時代趨勢の変化が生じると予想される状況下においては,上記のような手法で将来予測を行うことには大きな困難が伴う.そこで本稿は,上記のような,東アジア地域を中心とした国際経済や交通のあり方に関する議論や,将来予測を行う際の一助とすることを目的に,多数の専門家に同一のアンケートを複数回繰り返すことによって,回答者が有する将来見通しの明確化と意見の収斂等を図るデルファイ法に基づいたアンケート調査を行い,最も蓋然性の高い将来シナリオをとりまとめるものである. |